続いて、大瀬と久部の登場シーン。今日だけはアドリブで繋いでもいいと久部に言われ、気合十分の大瀬は、警官らしく刑法をネタにしたアドリブトークを繰り広げる。久部は対応できずにうろたえるばかりだ。袖にハケた大瀬に、目利きの伴も称賛を送る。
次は、カットされたはずの是尾とケントちゃんのシーン。客席で樹里とともに見ている父・論平(坂東彌十郎)。その近くに座るニット帽をかぶった男も、舞台を食い入るように見つめていた。
まだ到着しないトニーに気を揉んでいたのは、久部だけではない。大門はもちろん、事務所で雑誌を読むジェシーも、内心では気が気でなく…。
トニー(市原隼人)がようやく到着!素晴らしい芝居を見せるが…
そしてとうとう、是尾とケントちゃんのセリフもすべて言い終えてしまい、舞台袖へと戻って来る。舞台上は空っぽだ。伴は「まだ手はある!」と言い、舞台装置を操ると雪を降らせ始めた。蓬莱も雪の降る音を表す太鼓を鳴らす。
降り続ける雪に、いつまで続くのかとつぶやく論平。樹里はそんな父に、ステージへ上がるように無茶を言いだす。他の観客からスカーフを借りて顔を隠すと、毎日の観劇で覚えたセリフを言いながらステージへ。舞台袖では、思わぬ展開に伴たちがあ然とするが、慌てて相手役であるリカを舞台上に押し出す。
一方、劇場の外では、ようやくトニーがタクシーで到着した。遅くなったことを謝るトニーを大慌てで迎えた久部は、客席に入ると「そいつは偽物だ!!」と叫び、論平を袖へと引きずる。
そして、客席から姿を見せたトニーは、磨き上げた情感豊かなセリフ回しで劇場の空気を一変させると、リカの手を取り、舞台へと上がるのだった。
ようやく芝居は本筋に戻ったが、外の様子を見てきた蓬莱が、警察らしき車があると報告。事務所ではジェシーが緊迫した様子で、乱士郎の兄・乱太郎に電話で指示を出していた。そのまま警察で取り調べを受け、会社のこともジェシーの名前も出さないように、と。
取引の現場で警察に踏み込まれ、抗争になったという。ジェシーはテキパキと荷物をまとめ、立ち去ってしまった。
