10月発表された月の訪日外国人数は、9月として過去最多。インバウンドの拡大が続く中、問題となってきたのが「スーツケースの放置」です。
『サン!シャイン』が取材を進めると、この問題は“新たな場所”でしかも数多く発生していました。
ホテルにスーツケース放置 有効活用も
私たちが最初にこの問題を取材したのは今年8月。
空港や都内の路地や繁華街の路上に、多くのスーツケースが放置されていました。
日本で買った物などを入れるため、大きなスーツケースを購入し、自国から持ってきたスーツケースを捨ててしまうことなどが理由だといいます。
それから2カ月。歌舞伎町で8月にグレーのスーツケースが放置されていた同じ場所に行ってみると、スーツケースはありませんでしたが…、
そのすぐ近くに、ゴミと共に別の黒いスーツケースが放置されていました。
探してみると、他の場所でも放置されているスーツケースがいくつも見つかりました。
放置されているのは、街中だけではありません。
頭を抱えていたのは、ホテルです。宿泊者の半数以上が外国人観光客だといいますが…。
秋葉原ワシントンホテル 荒井彩花マネージャー:
月に5件くらいは見つかる印象です。3カ月間は一旦保管するので、多くて15個くらい(保管)。
こちらのホテルでは、29日にも、チェックアウト後の客室でスーツケースが、発見されました。泊まっていたのは外国人旅行客だったといいます。
スーツケースを放置されると、しばらく保管する場所が必要な上、持ち主が取りに来ない限りホテル側で処分するしかありません。
しかし、捨てるにも粗大ごみにあたるため、お金がかかり、困っているといいます。
そこで、苦肉の策も…。
秋葉原ワシントンホテル 荒井彩花マネージャー:
お客さまに引き取ってもらうためにここに置いております。無料でお渡ししております。
まだ使えるものが多いことから、3カ月の保管期間後に放置されたスーツケースをロビーに並べ、無料で提供し再利用しているといいます。
他にも都内のホテルでは、意外な取り組みが。
庭のホテル 東京 海老沼悟総支配人:
私どものホテルで行っている屋上菜園です。置いていかれたスーツケースを菜園のプランターとして再利用しています。
放置されたスーツケースで野菜やハーブを栽培。これをホテルのレストランなどで提供しています。
一方で、新たに深刻な問題が起きている場所がありました。
マンションのごみ捨て場にも放置
取材スタッフ:
JR大久保駅から350mほどの場所になるんですけれども、こちらマンションのごみ捨て場なんですが、スーツケースが3つも放置されています。
スーツケースが捨て置かれていたのはマンションのごみ捨て場。
これまで路上やホテルでは主に1か所に1つでしたが、ここは3つも放置されていました。
近くをよく通る人:
やっぱり不気味ですね。何が入ってるかわからないからね。
近隣住民:
誰が回収するんだろうみたいな。結局これって多分燃えるごみ扱いで置いてるわけでもないので、曜日で回収されるわけでもないので、どんどんたまっていっちゃうんじゃないかなみたいなのは思います。
近くをよく通る人:
住んでいる方たちが(ゴミを)捨てるところなので、こういうふうに捨てられてしまうと困るな、嫌だなっていう気持ちはありますね。
不安や憤りを募らせる地域住民たち…。
ゴミ捨て場のすぐ横には、日本語の他にも3つの言語で「不法投棄禁止」について警告しています。それでも…。
近隣住民:
たぶん1週間くらいはここに置いています。
近隣住民:
ちょこちょこごみ捨て場のところには捨ててあるわよ。ここはよく捨ててあるよ。ちょっと前も赤い大きいのあったよ。
住民たちのごみ捨て場に、あまりに身勝手に放置されるスーツケース。数が増えたのは最近のことだといます。
この辺りに30年以上住んでいる方に、近くを案内してもらうと…。
近隣住民:
ほらある。向こうにはマットが…。
先ほどの場所からわずか200mほど離れたマンションでも、ごみ捨て場にスーツケースが放置されていました。
近隣住民:
民泊みたいなアパート一棟そういうところから観光客がワッと出てくることがあるので。この辺(スーツケースが)安く売ってるので、大きいのに買い替えたりするでしょ。そうするとああいうふうに置いていっちゃうんじゃないかなと私は思う。
放置されたスーツケースの処理で特に難しいのが、ごみ捨て場に放置されたものです。
新宿清掃事務所によると、通常、居住地のごみ捨て場にスーツケースを捨てる場合は粗大ゴミ受付センターに電話・ネット予約をし、指定された日にち・場所にシールを貼って捨てます。
それをしないと、ごみ捨て場にあっても持っていくことができず、管理会社や土地の所有者が対応する必要があります。
元横浜地検刑事部長の若狭勝弁護士によると、スーツケースを指定された場所以外に放置したり捨てたりすると、「廃棄物処理法違反」にあたり、5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられる可能性があるということです。
拡大しつつある「放置スーツケース問題」。対策の手だてはあるのでしょうか。
(『サン!シャイン』2025年10月30日放送より)
