『サン!シャイン』が向かったのは、鹿児島県の奄美群島に属する離島、徳之島。

徳之島町・伊仙町・天城町3つの自治体で構成され、2万4000人ほどが暮らしています。
島の玄関口である空港の名前は「徳之島子宝空港」。

1人の女性が生涯に生む子供の数を表す「合計特殊出生率」。
去年発表された市区町村別のデータで1位となったのが徳之島町。その出生率は2.25。去年の全国平均1.15の2倍近い数値を記録しています。
徳之島が高い出生率を誇る秘訣は?“子宝の島”を取材しました。
家族の時間を楽しみつつ家計も助かる仕組みづくり
『サン!シャイン』取材班がまず話を聞いたのは徳之島町の町長。シャツの胸元には「出生率日本一」の文字が!

徳之島町 高岡秀規町長:
PRです。とにかく地元愛がね、出生率につながるということで。
出生率1位のアピールに余念がない高岡秀規町長。徳之島町出身で5人の子供と7人の孫がいるそう。
なぜ島の出生率が高いのか聞くと…。

徳之島町 高岡秀規町長:
子供は大事にしよう、宝物であるっていう感覚が体の中に染み付いているということもあると思います。
それプラス、家族でいる時間っていうものが都会に比べたら、相当あるということですね。

さらに町が去年から始めた「われんきゃポイント事業」。
「われんきゃ」とは、「子供」という意味の方言。
家族で地域活動などに参加するとポイントがもらえ、貯めたポイントは地域振興券に交換できます。つまり、家族の時間を楽しみつつ、家計も助かるという仕組みなんです。
徳之島には「頼る場所」がある
島民に話を聞くと、子供の多さに驚かされます。

NPO法人 親子ネットワーク がじゅまるの家 理事長 野中涼子さん:
(子供は)4人ですけど、4人とか全然多くないんで。

5児の母 元山歩さん:
(子供は)5人です。一人っ子は逆にあんまり聞かないです。
徳之島町にある、現在100人ほどの園児が通う保育園で話を聞いたのは、元山歩さん。

下は5歳から上は小学5年生まで5人の子供がいます。

5児の母 元山歩さん:
頼る場所があることが大きくて。みんなにお手伝いしてもらいながら、子育てしてます。頼る場所がなかったら多分5人は産めなかったですね。
近くに住む両親や兄弟、親族が子育てに協力してくれるなど、充実した環境に助けられているといいます。
楽しんで子育てを!子育て支援拠点
島には、町と連携した「子育て支援拠点」も。

NPO法人 親子ネットワーク がじゅまるの家 理事長 野中涼子さん:
子育てしているお母さんたちが、子供を遊ばせる場所として利用をしていたり、お母さんたちの仲間作りで利用していたり。

子育て中の親同士の交流を支援している施設。
悩みを相談したり、情報を交換するなど、楽しんで子育てができるようサポートしています。
施設の利用者である、大保さん一家は…。

――ずっとこの島に住んでいる?
大保健司さん:
5年と半年ぐらい前に家族で移住してきました。
離島が好きで、70以上の島を巡ってきたという大保さん。子育てを視野に入れた上で、移住先として選んだのが徳之島でした。

大保健司さん:
地域で見守られてるなというのは感じています。
ご飯食べに行くんですけど、(夫婦の)どっちかが(子供を)見てる時にどっちかが食べるみたいになるんですけど、知らないうちに店のおばちゃんが抱っこしてくれてて、(2人とも)食べなよとか。
離島みたいなところだったら、やっぱり病院はあるんですけど、産める環境がなかったりとか、(徳之島は)そういう環境があるのは、すごいありがたいのかなと。
継続困難を乗り越え…支える病院の役割
島に唯一ある、分娩可能な病院。年間120件ほどの出産が行われています。

出産・子育てをする上で心の大きな支えとなる島の病院。
しかし、約15年前、医師不足が原因で分娩の取り扱いを休止する危機に直面したことがありました。

徳之島徳洲会病院 新納直久院長:
それまで島で産めて当たり前って多分みんな思っていたと思うので、徳之島でお産ができなくなるかもっていう危機感をみんなが抱いた。
かなり人手も交通費とかもかかったというふうに伺ってますけどね。
「子宝の島」を守るべく、病院や町が一丸となって医師を確保。
現在は3人の医師が常勤し、10月には設備が充実した別の建物に病院ごと移転予定です。
徳之島だからこそ子供を授かれた
取材から見えてきたのは、子供を大事にする島の風土に、充実した子育て環境など。
4歳の景音くんを育てる中澤さん夫婦も、徳之島だからこそ子供を授かれたと話します。

中澤孝さん:
もともと東京に暮らしていたので、移住をしてきて、いま6年過ぎたところですね。

東京で建築関係の仕事をしていた時に、徳之島出身の妻・洋子さんと出会ったという中澤さん。
結婚し、東京で子育てすることも考えていたところ、洋子さんに異変が…。
妻・洋子さん:
通勤電車がしんどくて、あとは婦人系の不調も多かったりとか、そういうのが続いて、東京でその子供を育てるイメージがつかないなって。
そこで、思い切って夫婦で徳之島へ移住。
すると、洋子さんの体調も回復。移住から1年足らずで景音くんを授かることができました。

妻・洋子さん:
やっぱり解放されたのかな。自然と距離が近いっていうところとかで、気持ちも解放されるし、安心できる場所がたくさんあるっていう。
中澤孝さん:
街全体として、島全体として、やっぱり子宝というところは意識してるっていうより、当たり前にそういう環境があるんだろうなっていうのは思ってますね。
(『サン!シャイン』2025年9月18日放送より)