ネット通販の普及で宅配便が増加する一方で、物流業界では人手不足が大きな問題となっています。そんな中、政府は「配達員によるオートロックの解錠」について、検討に入りました。

国交省は、宅配業者とマンション側で配送データなどを共通化し、配達員がオートロックを解錠することが可能になるシステムの開発を支援。早ければ2026年度に導入したい考えを示しています。

“配達員が自由にオートロックを解錠できる仕組みを導入するものではない”と強調していますが、物流業界からは期待の声が挙がる一方で、街の人たちからは「悪用されたら…」と不安の声が。

谷原章介キャスター:
配達員の方の現状を見ると、オートロックを解錠して荷物をスムーズに置き配を進めて、持ち戻りの%を減らしてあげたいと思いつつも、オートロックのマンションって高いわけじゃないですかセキュリティーレベルが上がっている分だけ。
また、年代や性別でももちろん怖い人もいるでしょうし。1人暮らしや若い女性だったり。難しいですね。
『サン!シャイン』は、戦略物流専門家の角井亮一氏に、気になる懸念点をぶつけてみました。
セキュリティーは大丈夫?気になる懸念点
「配達員のオートロック解錠」について、まずもっとも懸念されるのは「セキュリティー面」について。

現在、実際に導入されている大手宅配業者のオートロックの解錠方法は、到着後、入り口で専用のアプリを使って荷物のバーコードをスキャン。配達依頼の正当性などが確認されると、オートロックが解錠されるという仕組みとなっています。(※1つの荷物につき、1回のみ)
これは、マンションの管理組合や利用者の同意が大前提です。

セキュリティー担保の方法として、「アプリの操作は顔認証など配達員本人でないと使用できない」、「解錠キーが有効なのはたったの数分」、「いつ誰が解錠したのかすべてデータが残る」といった対策がとられています。

解錠には必ず荷物に貼られたバーコードが必要なので、「誰でもいつでも」という心配はありません。

戦略物流専門家 角井亮一氏:
この仕組みはすでにあるシステムで、(使用され始めてから)5年とかたっているので、いろいろなセキュリティーの穴を、ずっとつぶしていっているというところがあります。
ただ、(現在はこの仕組みに)統一されていないのが問題で、それを何とかしようと考えているのが国交省だと。
例えば宅配業者A社とB社があって、ひとつの大きなマンションに全部で100個くらい届けますと。それを1社1社やっていると手間がかかるので、まとめましょうと。そのときに同じ仕組みを持っていた方がいいよねということで、共通化しようとしているのが今回になります。
谷原章介キャスター:
セキュリティーレベルが高い方で共通化しようと。

カンニング竹山氏:
業者さんによっても色んなシステムを持っていたりするし、国交省がそれを一本化しようとしたときに、一本化するアプリを開発するのはどこなのか、他の会社がやっているのに削っちゃうの?それを国交省が一本化できるのかという疑問が出てくるのですが。

戦略物流専門家 角井亮一氏:
国交省が自分で作るわけではなく、複数の事業者が一緒になって「こういうことをやりたい」という申請が上がってきて、それに対してセキュリティーは大丈夫なのかなどの確認が全部取られた上で、承認して補助をすると。
もしかしたら完全共通ではなく、2つに分かれる可能性もあると思います。

谷原章介キャスター:
運ぶ側の不具合不便と、怖い方たちにとってのセキュリティーへの不安というのが合致していないから、いつまでたってもなかなか解決しないかも知れないけれど、何かこうテクノロジーで壁、確執は超えられるものですか?

戦略物流専門家 角井亮一氏:
実際にこういうセキュリティーがありますよと、正しい情報を理解すれば安心すると思いますし。

杉村太蔵氏:
「知らない人が来る」というのが不安なんで、例えば物件とかでこのマンションはこの人たちが配達員として主に担当しますとか、書いていただくだけでも住民は安心する。
だから、業者とマンション側がしっかりコミュニケーションを取るということが大事じゃないかなと。
(『サン!シャイン』 2025年9月18日放送より)