国内外から多くの観光客が訪れ、渋滞やゴミなど、オーバーツーリズムをめぐるさまざまな問題が取り沙汰されている、京都。

新たに京都市の中心部で、“危険な自転車での走行”による問題が深刻化しているといいます。

人通りや交通量が多い京都市中心部では、歩行者らの安全を守るため、時間帯によって、エリアごとに自転車の通行が禁止されています。

ルールを守って、自転車を手で押しながら歩道を歩く人

しかし、市内を取材していると、きちんと自転車を手で押す人がいる一方で、“ルール無用”で自転車に乗る人の姿も。
自転車から降りるよう呼びかける警察に対して、目もくれず走り去っていきました。

『サン!シャイン』は、特に交通量が多く、朝8時から夜9時まで自転車を規制している「四条通」と「河原町通」の一部区間を張り込み取材。危険な実態を捉えました。

注意しても聞く耳持たず…タクシーも危険感じる

周辺は観光地として商業施設が建ち並ぶ、京都有数の繁華街。

イヤホンをつけたまま走行する自転車

車道を見ると、イヤホンをつけたまま走行する自転車や、荷物を片手にぶら下げてふらふらと走行する自転車の姿が。

片方に大量の荷物を持って、ふらふらと車道を走行

中には、スーツケースをひきながら片手で自転車を運転する、外国人観光客らしき人の姿まで見られました。

取材スタッフが慌てて呼び止め、危険運転であること、この場所は自転車での走行が禁止であることを伝えますが、「降りて押せばいいのかい?わかった」と答えながら、そのまま自転車にまたがり走り去っていきました。

京都を走って20年というタクシードライバーも、現状には危険を感じることがあるといいます。

タクシー歴20年の運転手:
止まったときに(タクシーの)ドアを開けるでしょ?開けた瞬間に自転車が(突っ込んできて)。
とりあえず自転車が来たら近づかない。向こうに当たったらこっちが止まっていない限り、絶対こっちが悪くなりますからね。通ったらダメなところは、完全に通ったらダメじゃないですか。それさえ守ってくれたら構わないんですよ。
(自転車が)進入禁止のところを通っていて、車側が頭を下げなきゃいけないというのは、ちょっとおかしいじゃないですか。

自国との“ルールの違い”で混乱も

なぜここまで、観光客の自転車と見られる危険運転が横行しているのか。
京都旅行中のインドから来た夫婦が、自転車を借りて観光するというので、ついて行ってみました。

インドから観光に来た夫婦:
京都にはたくさんの観光名所があるので、歩いて回るのは大変だから自転車を借ります。

やってきたのは、レンタサイクルショップ。日本で自転車を借りるのは初めてということで、交通ルールなどについてしっかりと説明を受け、いざ出発。

自転車通行が可能な通りを軽快に走らせていきますが、途中、暑さの余り片手に日傘を手に持ち“傘差し運転”を始めてしまいました。

片手での運転は、道路交通法で禁止されている行為です。すぐに取材スタッフが違反であることを伝えると「日本ではダメなんですね」と驚いた様子。

インドから観光に来た夫婦:
インドでは雨が降っていると、傘を差して自転車に乗る習慣があります。

インドから観光に来た夫婦:
インドでは、自転車に対する罰金や厳しいルールはありません。教えてくれてありがとうございます。

夫婦によると、インドは自転車に関するルールが緩く、日本のルールに戸惑ってしまったといいます。その後、夫婦はルールに気をつけながら自転車走行を楽しんでいました。

しっかりとその国のルールを守ろうとしている外国人観光客がいる一方で、自身の国と違いすぎて、気づかぬうちにルール違反をしていることもある現状。

京都市は、危険な走行を行う自転車に対して、ホームページやSNSを活用し多言語で走行ルールの周知を徹底、自転車を貸す際には走行ルールの説明をしっかりと行い、自転車通行エリアを明確化するなど対策を行っています。

(「サン!シャイン」 2025年9月4日放送)