7月20日、JR新宿駅近くを走行中の山手線の車内で、30代の女性が持っていたモバイルバッテリーから出火。一時車内が騒然とする事態となりました。

このようなモバイルバッテリーなどに使用されている、リチウムイオン電池の発火事故は近年多く発生しており、特に6月から8月の暑い時期に多発しています。

「熱」と「衝撃」に弱く、夏の暑い日には特に注意が必要な「リチウムイオン電池」。

製品評価技術基盤機構(NITE)が行った実証実験では、車内に放置したモバイルバッテリーが少しずつ膨張し…。

突然、白い煙が大量に発生したかと思うとすぐに、勢いよく炎が噴き出しました。

「バーンといった」経験者が語る“恐怖”

『サン!シャイン』は、実際にリチウムイオン電池を使った製品で、出火を経験した人を取材しました。

モバイルバッテリーが爆発したという男性。きっかけは、所持していたモバイルバッテリーの一つが膨張していることに気が付いたことでした。

モバイルバッテリーが出火した男性:
(バッテリーが)ちょっと膨らんできてしまったんですね。これはもう危ないなということから、処分しようというふうに判断しまして。
裏ぶたをはがして、マイナスドライバーでケースの端をテコにクッと持ち上げたんです。
そのテコの原理で加わった熱が、リチウムイオン電池さんを怒らせてしまって…バーンといったんですね。

処分しようにも廃棄の仕方がわからず、自分で分解しようとしたところ、熱が加わり爆発してしまったのです。

さらに、ワイヤレスイヤホンから出火したという女性は…。

ワイヤレスイヤホンから出火した女性:
イヤホンが燃えるなんて、想像すらも全くしてなくて。もう怖いですね…正直(次を)買おうっていう気がしない。
(出火して)バンってなったときに、その部屋にワンちゃんがいたので、主人がもし部屋にいなかったらワンちゃんだけだったわけで。気づかなければ、最悪な状況になってしまって。

火を消した直後の映像では、イヤホンのケースが溶け、内部がむき出しになっているのがわかります。消防などにイヤホンを見せましたが、出火原因はわかっていません。

NG行動と処分方法

暑さや衝撃で突然発火する可能性がある「リチウムイオン電池」。膨張していた場合、どんな行動をしてはいけないのか、使用時の注意点は?元消防士で防災スペシャリストの野村功次郎氏に詳しく聞きました。

「リチウムイオン電池の発火につながるNG行動」として、以下のようなものがあります。

▼スマートフォンをズボンの後ろポケットに入れる
長時間、後ろポケットに入れたまま座ったりすることで、電池に負荷がかかってしまう

▼電池残量10%以下で充電
リチウム電池は、充電量が少なすぎても駄目だし、100%のまま充電し続けるのも圧力がかかる。充電量が少ないと、過放電となりこの状態が長く続くと劣化を招く。

スマホなどが熱くなりすぎてしまった場合は、一度使用を控えて冷めるのを待つか、熱伝導性が高い10円玉を裏側にいくつか置いて、熱を逃がすなどの方法があります。
もし発火した場合は大量の水をかけて消火したあと、バッテリーを水没させて、119番に通報してください。

――なぜ衝撃や熱が加わったモバイルバッテリーは膨張するのですか?
元消防士 野村功次郎氏:

膨張した状態は、中に可燃性ガス…ようは電池が変形してガスが発生して膨らむんです。
膨張したまま放置するのは危険です。

では、家にあるモバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池を使用している製品や、電池が不要になったときや、膨張してきたときに、どのように処分すればいいのでしょうか?

まず、安易に可燃・不燃などの“一般ごみ”として捨ててはいけません。
メーカーや販売店による製品回収サービスを利用するか、一部自治体では分別回収を実施していますので、そちらを利用してください。

例えば、東京・江東区の場合、できる限り使用した後に、燃やさないごみの日に「透明なごみ袋」に入れて、集積所に出すことが可能です。
膨張している場合、単体で袋に入れて「膨張電池」と表示した上で、燃やさないごみの日に出してください。

リチウムイオン電池による火災が相次いでいることから、環境省は家庭から出される不要になったすべてのリチウムイオン電池を、市町村が回収するよう通知しています。

谷原章介キャスター:
捨てられる日も限られているし、捨てられる場所も限られているじゃないですか。これだけリチウムイオン電池の製品が世にあふれていますが、もっと簡単にではないですが、捨てやすい場所をメーカーに作ってほしいですよね。

元消防士 野村功次郎氏:
一番近い場所ですと、量販店の出入り口などに、回収ボックスが置いてあるのですが、分かりにくいというか…もう少しPRというか、危険性があるので、こちらに捨ててくださいということをアピールしていかなくては。

谷原章介キャスター:
有料でもかまわないので、コンビニだったりとか、捨てやすくしてほしいですね。

(『サン!シャイン』 2025年7月23日放送より)