ナレーション収録終えた芳根さんにインタビュー。再びマーヤさん一家を見守って感じたことや、3年という月日の流れについて、「とても苦しい」「早く明るい未来が来てほしい」と思いを語りました。
芳根京子「同じ時間が流れているはずなのに…」自身の3年間と重ねて思う
――約1年ぶり、4作目の本シリーズですが、今回の感想を聞かせてください。
ウクライナではこんなにも長い間大変なことが起きていて、変わらない現実があるということを、自分のこの3年間を振り返るとより感じます。同じ時間が流れているはずなのに状況が変わらない…言葉にすると軽くなってしまいそうですが、とても苦しいです。
何かぜいたくをしたいわけではなく、子どもを祖国で育てたい、子どもたちはお母さんと一緒にいたい、大切な家族を危険な場所へ帰したくない…ナレーションにも「誰もが、そんな当たり前を求めているだけ」という言葉がありましたが、本当にそうなんですよね。
――母・マーヤさんは帰国を決意しますが、戦況は悪化。アナスタシアさんと和真さんは子どもたちだけでも残るよう説得し、アナスタシアさんが感情を爆発させる場面もあります。
日本に住んでいる身としては、アナスタシアさんと和真さんがおっしゃることは、ものすごく分かります。やっぱり安全な日本にいてほしいですし、(子どもたちまで帰国してしまったら)残される方もつらいですよね。
でも、マーヤさんにはまた違う思いもあって、子どもたちもお母さんと一緒にいたくて。やっぱり決めるのはマーヤさんご本人ですし、何が幸せかは人によって違いますし…マーヤさんが決めたのであれば、それがどういう決断であっても、どうか無事でいてほしいと祈ることしかできないと思いました。

――そんな中でも、レギナちゃんとマトヴェイくんが日本の友だちと仲良く遊んでいる姿を見ると、少し心がホッとします。
2人とも日本語のイントネーションがとても上手で、違和感なく話していますよね。子どもの順応性ってすごいなと思いつつ、だからこそ余計に、マーヤさんは子どもたちがウクライナの言葉を忘れるのではと焦ってしまうのだろうなと。
それでも日本にいる間、2人がのびのび暮らすことができたのは良かったなと思います。
――レギナちゃんとマトヴェイくんの友人が送別会を開いたり、帰国の日に見送りに来たり、マーヤさんのママ友も別れを惜しんでいました。
ナレーションにもありましたが、3年前に日本に来たときはこういう風景を見られると想像していなかったので、うれしいなという思いがあります。お友だちや、この番組を通じてたくさんの方が見守っている家族ですから、早く明るい未来が来てほしい…本当にそれだけを思います。
――先ほど「自分の3年間を振り返ると(変わらない現実を)より感じる」と話していましたが、芳根さん自身はこの3年間を振り返っていかがですか?
今28歳なのですが、25歳の誕生日のときに、20代後半に突入して仕事への向き合い方もちょっと変わっていくだろうなと、それまでと違う感覚を抱いたことを覚えています。
今は30歳を見据えて過ごしていますが、マーヤさんたちの姿を目の当たりにすると、それも当たり前なことではないと感じます。
――芳根さんが主演を務めたドラマ『波うららかに、めおと日和』でも、戦争が近づくなかでの、何気ない日常の大切さが描かれていました。
そうですね…やっぱり誰もが同じ時間の流れのなかで生きているということを、作品や今回の映像を通じて、改めて感じました。
――芳根さんは映像に舞台にと活躍中ですが、『ザ・ノンフィクション』の“語り”は自身にとってどんな仕事ですか?
2022年から毎年、この物語を担当させていただいているので、『ザ・ノンフィクション』というよりも、このシリーズの印象が強くて。毎回いろいろな思いを受け止めながら覚悟を持って臨んでいますし、苦しい思いになることもあります。早く明るい言葉を読みたい、と思うくらい。
とにかく、みんなの願いが1つになって、みんなが幸せだと思える日が早く来るといいなと思います。
予告動画
YouTube「フジテレビドキュメンタリー」で、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。7月27日(日)14時~「たどりついた家族4 後編~戦火の故郷へ 母と子の決断~」
7月20日・27日放送「たどりついた家族4 ~戦火の故郷へ 母と子の決断~」前後編(語り:芳根京子さん)が、放送直後から8月10日までTVer・FODで無料配信されます。