──黙殺は、どんな刃物も強力にする能力を持っていますが、もし、中村さんがヒーローになれるとして、手に入れたい能力はありますか?
黙殺の能力って精肉店の子どもとして育って、もともとナイフを使っていたから、その能力が引き上げられているということなんですよね。ロリとか、あのメカニックスーツを着ていたら、その能力使えそうだけど(笑)。
それは置いておいて、僕が欲しいのは…歳を重ねた今だからこそ、衰えない、不老の能力を得たいですね。そういう能力が物語に出てくると、よく「永遠を生きるつらさ」があると描かれますけど、僕はたぶん強い心で生きていけると思うので大丈夫です。
中村悠一 “声優界のヒーロー”山寺宏一に「とても勉強になります」
──不老ということは、衰えを感じる瞬間がすでにあるということですか?
5年周期で感じています。最初に感じたのは25歳のときで、そこから30歳、35歳、40歳と感じて、今年45歳になったので、「また一つ、自分の中から何かが減ったな」と。
疲れやすさとかそういうこともそうですが、免疫力の低下を一番感じますよね。40歳のときに喘息になったのですが、調べたら免疫が下がるタイミング、つまり子どもの頃と40歳以上になることが多いらしいんです。
特にアレルギーを持っている人は喘息になりやすいらしくて、僕もアレルギーがあるのでドンピシャだったな、と。ということは、衰えていなければ喘息にもならなかったんじゃないかと思いますし、不老の能力があれば解決ですよね。

──中村さんにとって、ヒーローはどんな存在ですか?
難しいですね。何をもってヒーローというのか…というところもあるので。
でも、仕事に対する姿勢やパフォーマンスの話で言うと、トラ役の山寺宏一さんはヒーローですね。僕が小さなときに見ていた作品にも出演されていますし、パフォーマンスもとても勉強になります。
──影響を受けた山寺さんからの言葉などはありますか?
直接的なものはないんですけど、パフォーマンスなどから受け取ることが多いですね。
ただちょっと、困ることもあって。山寺さんは多くメディア露出をされていて、いろいろな場所でいろいろな技術を見せるじゃないですか。あれを基準にしないでほしいんです。あれは山寺さんだからできることで、僕らに求められても無理ですから(笑)。
だからこそ、その域まで達するような努力をしなければと思わされる。そういう意味で山寺さんはヒーローのような存在だなと思います。
──最後に、今後の『TO BE HERO X』の見どころを聞かせてください。
全体を通して一つ軸となるストーリーはありますが、キャラクターごとにエピソードが分かれているので、途中から見てもそのキャラクターのことを知ることができます。だから、視聴者の方それぞれの好きな見方ができる作品だと思います。
それに加えて、驚きポイントとして絵柄が変わるというお話をしましたが、言い換えると一つの作品でいろいろなテイストのアニメーションを楽しめる面白さがあると思っていて。音のつけ方も違いますから、飽きさせないところが『TO BE HERO X』の魅力の一つだと思います。
後半戦に入りますが、まだまだ魅力的なキャラクターが新しい演出で現れるので、最後まで楽しんでください。

【リレー企画:内山昂輝さんにヒーローネームをつけてください!】
『TO BE HERO X』に登場するヒーローを演じている豪華声優10人にリレーインタビュー。
今回はヒーローランキングNo.4の黙殺を演じる中村さんに、ヒーローランキングNo.3の梁龍(りょうりゅう)を演じている内山昂輝さんの“ヒーローネーム”を命名してもらいました。
僕から見た内山さんは、熱さを内に秘めながら、クールで、あまり余計なことは言わない男だなという印象です。だから、ヒーローネームは「黙殺」ですね。僕のキャラクターを譲ります(笑)。
収録の休憩中とか、イベントに登壇しているときは基本的に寡黙なイメージ。もちろん振られたときにはしゃべりますけど、必要ないおしゃべりはしないんです。でも、お芝居のときには熱さを垣間見ることができるので、まさに黙殺だなと思います。
撮影:河井彩美