──声優のお仕事についても聞かせてください。アフレコ時のルーティンはありますか?

私は考えれば考えるほど“良さ”が出ないタイプなので、アフレコ前は全然違うことを考えていて、マイク前に立ったときの直感に従うようにしています。

駆け出しの頃、練習しすぎて声を枯らしてしまうこともありましたし、役をきっちり構築してアフレコに臨んだことであまりうまくいかなかった経験があって。これは本末転倒だなと思ったんです。共演する皆さんと掛け合わなければ見えてこないものも絶対にありますし、現場で感じた気持ちに正直に演じるようになりました。

ほとんど書き込みをしないので、私の台本は他の皆さんに比べてすごくキレイだと思います(笑)。それくらい、直感でお芝居をしています。

週に1~2日は休みをもらって“水瀬いのり”を忘れることがリフレッシュ

──では、現場にあったらうれしいもの、必需品などはありますか?

ものではないのですが、環境に左右されやすくて、スタジオは間接照明だとうれしいですね。『TO BE HERO X』を録っていたスタジオは間接照明だったので、すごくお芝居がしやすかったです。

逆に閉鎖された部屋の白熱灯は、“現実感”があるというか…家の寝室のように感じてしまうので苦手で。その環境に馴染んで、役に入るのに時間がかかってしまうことがありますね。

──多くの作品に出演されていてお忙しいと思いますが、リフレッシュ方法を聞かせてください。

私は1週間のなかで1日か2日、ちゃんとお休みをいただいて、働き続けるということはしていません。もちろん、舞台挨拶やイベントなどが土日に入ることもありますが。

基本的にお休みをいただいたら、必ず外に出ています。アウトドア派というわけではないのですが、1日家にいることができなくて。誰かと遊びに行くこと、“声優・水瀬いのり”を忘れることがリフレッシュになっています。

──どのような場所に行くことが多いですか?

海に行ったり、お台場に行ったり、遊園地に行ったり、ライブを見に行ったり、皆さんの休日と同じです(笑)。あとは、地域のイベント、催事がすごく好きで。『肉フェス』とかにもよく行っていますね。

──最近一番楽しかったことは何ですか?

今は、映画鑑賞が私の癒しです。最近だと、ミュージカル映画をレイトショーで4回観ました。ほかに人がいなければ歌いたかったし、歌唱上映があれば一緒に歌って踊りたかった(笑)。それくらい大好きな作品です。

シンプルなものにちゃんと感動できる大人でい続けることが私の目標なのですが、物語に感動して泣けると「理想の大人になれているかも」と思えて、自分が一段と好きになるんです。そういった意味でも、映画を観る時間は癒しになっています。

──最後に、改めて『TO BE HERO X』の見どころをお願いします。

ヒーローは雲の上にいるのではなく、すごく身近にいて、ヒーローにも苦悩があり、完ぺきではないということも描かれています。ヒーローを身近に感じていただき、楽しんでいただき、元気に変えていただけたらうれしいです。

【リレー企画:佐倉綾音さんにヒーローネームをつけてください!】

『TO BE HERO X』に登場するヒーローを演じている豪華声優10人にリレーインタビュー。
今回はヒーローランキングNo.7のラッキーシアンを演じる水瀬さんに、ヒーローランキングNo.6のロリを演じている佐倉綾音さんの“ヒーローネーム”を命名してもらいました。

“ヒーローっぽい”ポーズをリクエストすると、「やっぱりこれですよね」とキュートにポージングしてくれました!

「スーパーロジックウーマン」です。ねるさん(佐倉さん)は、仕事もプライベートの時間も含めて、ずっと思考回路が働き続けている人。自分の命を燃やしながら働いているイメージがあります。

しかも、そのイメージは年々強まっていて。多岐にわたって活動をされていますが、ちゃんと自分のなかで思考を巡らせたものを、“自分にしかできないもの”として、その現場に残していける人なんです。

そんなねるさんに刺激を受けるか…ですか?自分にはないものを持っているから面白くて、逆に私も彼女にないものを持っているんだと思えるから、ねるさんと話しているとすごく楽しいんですよね。

私自身は家に仕事を持って帰りたくないタイプなので、命を燃やし続けるねるさんはすごいなと思いますし、きっと彼女の一つの才能で、仕事を続けてきたからこそ手に入れた最大の武器なんだろうな、と。誰も「今日から始めよう」では“佐倉綾音”には絶対になれません。

撮影:河井彩美