2025年5月21日午前8時前、「コメは買ったことない」などと発言した江藤農林水産相が辞任しました。コメ価格高騰が止まらない中の、大臣の交代劇…。

そんな中、「サン!シャイン」が向かったのは、コメ不足による価格高騰を解消できる可能性を秘めている“驚きの最先端技術”でコメ作りに挑む農家です。

埼玉県内で、100ヘクタール以上、東京ドーム約21個分の土地でコメを育てている、「ヤマザキライス」の山﨑能央代表。
こちらの田んぼで取り入れているのは、「節水型乾田直播(せっすいがたかんでんちょくは)と呼ばれる、最先端の生産方法です。

通常、水田でコメを育てる場合、最初に土を起こし、水を張った状態で、さらに地面をならし、種から育てた苗を植える必要がありますが、「節水型乾田直播」は、耕した状態の土に直接種をまくため、大幅に作業を減らすことができるといいます。

ヤマザキライス 山﨑能央代表:
とにかくコストが下げられる。4月から6月の機械設備コストが60%削減でき、加えて投下労働時間が70%減らせます。

作業や管理コスト、人手不足の問題まで解消できる、まさに夢の生産方法。

デメリットとして雑草が生えてきてしまうことがあるといいますが、この問題も、上空からドローンで除草剤をまき、GPS機材を搭載した自動運転の農薬散布機を使うなど、最小限の人手で対応しています。

ヤマザキライス 山﨑能央代表:
担い手の方が減っていくことが大きな問題になると思うので、安心して次の世代に渡す農業にしていかないといけない。なりわい的な農業ではなく、しっかりと経営として収益を上げる仕組み、技術、こういったことが重要だと思います。

少人数で持続的に農家が利益を出せる生産体制の確立が、安定した供給とコメ不足の解消につながると山﨑さんは話します。

実際に、一般的な個人農家(経営規模1.8ha)と、法人農家である山﨑さん(経営規模110ha)を比較すると、田んぼの規模は約100倍にもかかわらず、労働時間は約5分の1(※節水型乾田直播により)。
1kgあたりの生産費も、一般的な農家が約266円なのに対して、約75円に抑えられるといいます。

――昔と比べると効率はよくなってきている?
ヤマザキライス 山﨑能央代表:

スマート化や、そういったものも取り入れながら農業機械も進化してきていますので、効率はよくなっています。
ただ、私たちのような大規模農家だけでは日本の農地というのは守れないんです。一般的な小さな農家の方がいらっしゃるおかげで私たちができない場所もやっていただいたり、そういったところで今後、政策も差を付けていかなければいけないのかなと考えています。

山﨑さんが行っている「節水型乾田直播」は、節水型といっても、水を全く使わないわけではなく、乾いたら入れるという栽培方法になります。

ヤマザキライス 山﨑能央代表:
例えば、2024年4月30日に種まきしたものは、7月30日まで一回も水を入れていないんです。ちょうど梅雨もありますので。ただ、夏場は暑いので水を入れなくてはいけないのですが、水を入れるのも、少なくすればするほど収穫量は落ちていきますので、ある程度水は使わなくてはいけないと。(水が少ないと)稲に対するストレスが強すぎて収穫量が落ちてしまうと。
節水型の場合は、適度にぬれていれば水は相当入れなくていいです。弊社ですと、約70日間水を管理していたんですが、今は大体5回とか7回、田んぼに水を入れてあげればよくなった。雨が降ればもう入れなくてもいいですし。

ヤマザキライス 山﨑能央代表:
今までは、この作り方はできなかったのですが、「バイオスティミュラント(資材)」という、肥料でもない、農薬でもない、植物にストレスを与えて植物が頑張って生きるぞ!と本能を出すんですよ。そうすると根っこがものすごいはって、しかも干ばつ耐性に強くなってくるので、以外と暑い埼玉でも普通にお米ができてしまうと。資材の技術革新ですね。
私たちは(この方法を)SNSでも発信していますので、ものすごい数の方が今年これに取り組まれています。メリット、デメリットはたくさんあるのですけども、特に若手の人たちの取り組みが始まっています。

節水型乾田直播の田んぼ(左) 通常の水田(右)

ヤマザキライス 山﨑能央代表:
今までは、大規模化していくときに農業機械が大きくなるので入れない場所があったのですが、節水型乾田直播は小さなトラクターでもできますし、機械のイノベーションで起きたのではなく、農業資材のイノベーションで起きた作り方なので、山間地域でもできますし、小さな場所でもできるというのが、これからの日本の新しい農業になっていくかなと。

(『サン!シャイン』 2025年5月21日放送より)