Z世代が重視すると言われている“タイパ”“コスパ”

止まらない物価高の中、新たに若者の注目を集めているのが、浴槽のないシャワーだけの“浴槽レス物件”です。

1人暮らし(20代):
ユニットバスなら、浴槽レスの方がいいと思います。浴槽ない方がバス・トイレ別だったりするので、シャワーオンリーの方が全然いいです。

会社員(20代):
今も1年2年ぐらい(浴槽)使ってないかもしれないです、お風呂。もうシャワーだけバーとして、本当、全然入んないです。面倒くさいっていうのが一番あるかもしれないです。(湯船に)浸かる時間があったら、なんか他のことをしたい、携帯触りたい。

不動産賃貸管理事業などを手がける「シノケンファシリティーズ」の小曽戸芳光さんによると、浴槽レス物件は水道代や家賃が抑えられるため、「タイパ」「コスパ」が共にいい上に、浴室のスペースが押さえられることで、部屋の広さを確保できることも人気のひとつだといいます。

実際に“浴槽レス物件”で暮らす北海道出身の溝望さん(28)に家を見せてもらうと…。

“浴槽レス物件”に住む 溝望さん(28):
北海道だったら浴槽欲しいと思っていたんですけど、東京暑いじゃないですか。だから「浴槽に入らないな」と思って。

ロフトもついて、約8畳。東京・下高井戸駅から5分ほどのマンションで、家賃は管理費込みで約7万円。勤務先のIT企業はフルリモートということで、コンパクトでも住みやすいことも決め手のひとつだったといいます。

一方で少し困ることも…。

“浴槽レス物件”に住む 溝望さん(28):
歯磨きとかするのもここなんですよ。ないんですよ、洗面台が。
シャワーにはいる時に「バスタオルどこに置いとくの?」ってなったら、ここ(ガスコンロの上)に置くしかないんですよ。

「シノケンファシリティーズ」によると、2012年から浴槽レス物件を扱い始め、現在、物件数は1万戸以上とその数は右肩上がり。入居率は98%で入居者の9割近くが30代以下だといいます。

“浴槽レス”が広まった一因として、ライフルホームズ総研の中山登志朗 副所長は、「コロナ禍以降、自宅でオンもオフも過ごす時間が増えて空間をなるべく有効に使ってゆっくり自分らしく過ごしたいというニーズが高まったことがあるのではないかといいます。

また、浴槽にお湯をためる水道代や入浴時間がもったいない、「コストパフォーマンス」「タイムパフォーマンス」が悪いと考える若い世代が増加し、多様な生活スタイルに合わせて進化した形だともいいます。

高齢者も“浴槽レス”に注目?

浴槽レス物件に注目しているのは若者だけではありません。

消費者庁によると、2023年に浴槽での事故で亡くなった高齢者は6073人にものぼっており、ライフルホームズ総研の中山登志朗 副所長は、浴槽での事故を未然に防ぐために、今後“浴槽レス”が高齢者向けの住宅や介護現場などにも広がっていく可能性があるとしています。

そんな声に応えるような商品も登場しています。
「LIXIL」の「ボディハグシャワー」。シャワーアームが降りてくることで、浴槽をまたぐのが不安な人や、車いすでの利用も可能です。
全身を優しく覆うように包み込み、シャワーだけで体の芯まで温まります。

介護の現場では、コンパクト式のシャワー入浴装置を導入する施設もあるといいます。
医療関連事業を展開する「エア・ウォーター」の「シャワーオール」は、シャワー入浴の心地よさをコンパクトに凝縮、普通の浴槽へ入るのが難しく入浴介助が必用な人も、この装置内でミスト浴することができます。一般の個人宅にも設置可能です。

(『サン!シャイン』 2025年5月16日放送より)