連日の猛暑により、食卓には欠かせない「国産豚肉」が高騰しています。

農林水産省が発表した国産豚肉の卸売価格の推移を見てみると、連日暑さが続いた、6月頃から急激に高騰し、7月18日時点で史上最高値となる1kg948円に。

一体何が起きているのか?『サン!シャイン』は、豚肉の最前線を追いました。

暑すぎてブタに“異変”

神奈川県にある養豚場「丹沢農場」。この夏、豚舎で暮らすブタたちに“ある異変”が起きているといいます。

丹沢農場 松下憲司代表取締役:
いや…ほんとに、豚だけじゃなくてね、家畜全てが本当にきつい夏。去年もそうでしたけども、夏になると、餌の食べる量がうんと減ってですね、(子豚の)育ちがすごく悪い。

浅い息を繰り返しぐったりするブタたち

21日に撮影された映像を見ると、豚舎の中で、浅い呼吸を繰り返しぐったりとしているブタたち。暑さ対策を行ってはいますが、21日の豚舎の暑さは34℃でした。

連日の猛暑で、餌を食べなくなり、出荷にも影響が出ているといいます。

丹沢農場 松下憲司代表取締役:
うちの場合はだいたい夏以外は、枝肉重量が83kgぐらいあるんですけども、夏はもうとってもそこまでは大きくならないですね、75kgでもって1頭の豚でもって枝肉が7kgも小さいとね、すごい量ですから。

さらに、2024年の猛暑の影響で、生まれる子豚の数自体も減少しているといいます。

丹沢農場 松下憲司代表取締役:
お母さんブタがですね、夏で体力が落ちる。するとね、受胎率が非常に落ちるんですよ。そして受胎率が落ちると、同時に赤ちゃんの数が少なくなるわけですね。

値上げ始まる…100gの値段が1.5倍

農林水産省によると、「いまの卸売価格がすぐに小売価格に反映されるわけではない」としていますが…。

横浜市内のスーパー「スーパーセルシオ和田町店」では、豚肉の仕入れ値が急激に上昇し、値上げせざるを得なかったといいます。

スーパーセルシオ和田町店 鶴田聡部長:
こちらの豚こま肉なんけども、100g149円で販売しています。4月には100g109円で販売させてもらっていました。私もかれこれ25年くらい肉屋をやっているんですけども、値段がここまで高いのは初めてですね。

東京・池袋にある豚料理専門店「ブーミン」も、価格高騰の影響を受けていました。

人気メニュー・スペアリブは、2024年に比べ500円以上の値上げに。

豚料理専門店「ブーミン」 栗原淳店長:
(去年スペアリブは)460gでも、2200~2300円ぐらいでお出ししていましたけど、いまはどうしても正直、この値段じゃないとやれないので…。
安い葉物をちょっとうまく使ったりとか、トータルでお肉が高い分、付け合わせに季節で旬のものだと安いので、そういうものを添えてなるだけトータル的に原価を下げるっていう形でやっていますけど。

旬の野菜などを多く使うことで、何とかこれ以上の値上げを回避していますが、厳しい状態が続いているといいます。

豚料理専門店「ブーミン」 栗原淳店長:
(豚肉の)値段が上がって、仕入れ値が上がったからお店ができないとはいかないですから、なんとか工夫して頑張ってはいますけどね。

豚肉の価格高騰はいつまで続くのか。
北里大学獣医学部の鍋西久准教授によると、涼しくなれば、ブタがエサを食べられるようになるので価格が落ち着くのは秋以降。ただし、残暑が厳しいと繁殖がうまくいかず来年の夏も価格に影響が出る可能性があるといいます。

(『サン!シャイン』 2025年7月22日放送より)