タモリさんや笑福亭鶴瓶さんなどのものまねで知られる、ものまね芸人のコージー冨田さん(58)が、「1型糖尿病」の影響で、6年ほど前から「ほとんど目が見えていない」ことを公表しました。

現在は、人の顔を認識することも難しく、初対面の人の顔は覚えられないというコージーさん。テレビ番組を収録する際も、スタジオを歩き回ることはできず、日常生活も家族のサポートがないと、ままならないといいます。

ものまね芸人 コージー冨田:
杖がないと怖いですね、見えないんで。
こうしてちゃんと確認して、(椅子を)触ってからじゃないと…、なんもないことがありますからたまに。なくて、そのまま尻もち付いたりとかありますよ。

コージーさんがはじめて糖尿病を認識したのは、20代だった 約30年前。
頻繁に喉が渇くことから「糖尿病ではないか」と病院に行ったところ、「1型糖尿病」と診断を受けましたが、当時は自覚症状もなく通院などはしませんでした。

目の前にタブレットを持ってこないと文字を読むことも困難だという

ところが6年前から急に、まるで“半透明の袋”でもかぶっているかのように、目がはっきりと見えない状態になったというのです。

ものまね芸人 コージー冨田:
僕からしたら、ある日突然ですね。なんか見づらいな、(視界に)白いもやがかかっているなって。

症状は目だけにとどまらず、足の裏などの感覚がなくなる神経障害を発症。腎臓の機能も低下しているといいます。

ものまね芸人 コージー冨田:
神経障害、まず足の感覚がないので、ホットカーペットで寝ちゃって低温やけどして。危なかったです、足がもう腐りかけになっちゃって。足の甲が低温やけどで、病院に行ったら「このまま“そぎます”」と言われて。

――よくお酒を飲んで、ずっとお元気だったように見えましたが
糖尿病って喉が渇くんですよ、だからビールが延々に飲めるんです。「俺は酒に強くなったなぁ」と勘違いしていました。
だからこう…見えなくなったり、痛いとか、何かあれば対策をするのですが、なんともないので、ほっておいてしまいましたね。

100人以上のものまねレパートリーを持つコージーさんですが、目が見えなくなったことで若手有名人の顔がわからないといいます。

ものまね芸人 コージー冨田:
2019年から見えなくなったんですよ。だから、2019年以降にテレビに出てきた人の顔はわからないですね。
(ものまねを)研究する上で、顔の、例えばメイクしてとかっていうのはもうできなくなりましたね。声とか表情とか、似ているか似ていないかわからないけど、自分の中ではなりきってやるとか。
(新作を作る際は)TikTokとかで音が流れるじゃないですか、その音を聞いてキーとか、なんとなくしゃべって、このキーでしゃべっているんだなとか。だから顔とかなんかではなく。
だから今、朝ドラに竹野内豊さんが出ているんですが、ずっと原田泰造だと思っていたんです。原田泰造が出ていると思って調べたら、竹野内さんで、「あー、まだまだだな」と。

病を感じさせない“ものまね”を披露する

しかし、そこは“芸人”。ものまねをする時は、病を感じさせない立ち回りでお客さんを笑顔にしているといいます。

ものまね芸人 コージー冨田:
基本的に、司会の仕事をしていても、アシスタントがいないと司会進行ができないので。
ビンゴとか、くじ引きとかで「Aの53番」とかあるじゃないですか?あれも見えませんから、(アシスタントの方に番号を)言ってもらっていうとか。ひいて、(アシスタントが)「どうですか?板東英二さん、Aの53番です」って言われて「(板東英二さんふうに)Aの53番!」って。
(タモリさんの)「御機嫌ななめは まっすぐに♪」ってやりながら、「髪切った?」っていうシーンがあるんですよ。それは、基本的には一番前のお客さんで女性が喜ぶので、いつも「髪切った?」と。どこに女性が座っているかおしえてもらって。「今日がだめでも♪…髪切った?」って(笑)

5人に1人が糖尿病リスク「自覚症状なくても検診を」

糖尿病というと、遺伝的要因や生活習慣の乱れなどで発症する2型糖尿病を思い浮かべがちですが、コージー冨田さんが煩った1型は、ウイルス感染をきっかけとした「自己免疫」の異常によって発症するといいます。

糖尿病専門医 田中祐希医師:
1型は主に風邪のようなウイルス感染がきっかけとなって免疫が狂って自分のすい臓を攻撃してしまい、インスリンを作る細胞が減ってしまう、作れなくなってしまうと。これに関しては本当に誰がいつなってもおかしくないと。赤ん坊から100歳の方まで誰がいつなってもおかしくない。

糖尿病が引き起こす症状として、神経障害や目の衰え、腎機能の低下などがありますが、他にも、心筋梗塞や脳梗塞、場合によっては足の切断に至ることもあるといいます。

糖尿病専門医 田中祐希医師:
やはり細い血管からやられやすくて、神経や眼球の血管も非常に小さくて、腎臓もすごく小さな血管の集まりでやられやすいですね。それらが進行して非常に重い状態になると、目が見えなくなってしまったり、足を切断することになってしまったり、人工透析をせざるを得なくなってしまったりと、非常に生活に与える影響が大きいと。
また後に、致死的な心筋梗塞や脳梗塞によって身体が不自由になってしまうなど、非常に合併症が怖い病気です。

現在、日本の20歳以上の男女で糖尿病が強く疑われる人が1000万人、糖尿病の可能性を否定できない人が1000万人いると言われており、厚労省の調査では、約5人に1人が糖尿病のリスクがあるといいます。

糖尿病専門医 田中祐希医師:
日本というか、アジア人はすい臓のインスリンを作る力が弱めだと言われていて、そもそも太る前に糖尿病になる人も多いと。糖をたくさんとってもインスリンが出せれば血糖値は抑えられるんですが、そこができないと。痩せ型でも糖尿病の方は日本では多くいらっしゃいますね。家系的にインスリンを作る力が弱い家系の方もいて、すごく理想的な食生活で運動もされていて、非の打ち所がないのだけれど、でも血糖が高くなってしまうという人も。

糖尿病の前兆として、「夜中にトイレに行く」「のどが渇きやすい」「なんとなく疲れやすい」「目がかすむ(視力低下)」などがありますが、糖尿病から失明するリスクは高く、田中医師によると「糖尿病と診断を受けたら、自覚症状なくても1年に1回は眼科で診察を受けることが大切」だといいます。

糖尿病専門医 田中祐希医師:
実は糖尿病網膜症というのは、結構進んで重症にならないと自覚症状が出ないんです。
網膜から離れた部分の出血に自分では気づけず、その出血のゲル状の部分が漂ってきて大事な部分を覆うようになって初めて気づくと。(症状の改善には)大きな手術が必要になったり、場合によってはレスキューできないこともあり得るので、危険な芽を自覚症状がないうちに素早く見つけて事前の処置を先回りして大きなことをならないようにするためには、少なくとも1年に1回は眼科で眼底のチェックをした方がいいと思います。

(『サン!シャイン』 2025年4月18日放送より)