局内のエレベーターで、和平の妹で長倉家の次女、千明専属の脚本家を務める長倉万理子(内田有紀)に「仕事楽しい?」と問う千明。「『サレ妻』シリーズ、最高でございます!」とキラキラした目で答える万理子を見て、少し溜飲を下げるのだった。

「生まれてきて、やがて老いていくことは、なんてせつないことなんだろう」

そうぼやく千明は、いつも通りに極楽寺駅で交通系ICカードの所在を見失う。「その後ろのポケット見てください」。そう声をかける和平がいて、千明のカードの場所を言い当てた。

コロナ禍、オンラインでつながる千明(小泉今日子)と長倉家

その後、他愛のない会話を交わすなかで、千明はふと「気の合う誰かが、隣にいてくれたらいい」と思いを巡らせていた。

そう思うきっかけになった一つは、さかのぼること5年前。2020年のこと。コロナ禍によって世の中には緊急事態宣言が発令されて、鎌倉の街がゴーストタウンと化していた時。

クローズ中のカフェ「ナガクラ」、つまり長倉家の1階。和平は口元に三重マスクのスウェット姿。横にいる万理子が開いたパソコンの画面には、オンラインビデオ通話で、別々の場所にいる長倉家の人々が映る。

典子と夫・水谷広行(浅野和之)、真平と妻・長倉知美(佐津川愛美)に双子の赤ちゃん、さらには知美の母・大橋秀子(美保純)の姿がスクリーンに。

通話中にえりなも実家に帰ってくるサプライズもあるなか、そのビデオ通話に最後に入ったのは絶不調の千明。「罹っちゃいました」。

万理子は、血相を変えて隣家の千明宅に飛び出す。千明の寝室のふすまに、速攻で手をかける万理子に千明は「来たら嫌いになるよ!」と叫んだ。

コロナの強い感染力は誰もが知るとおり。冷静に往診に来てくれる人を探す和平の横で、涙をこぼす万理子だった…。