2024年の夏からいまだ続く、米の価格高騰。
実は、米の生産量は増えているのにもかかわらず、集荷量が減少しているといいます。
一体何が起きているのでしょうか?『めざまし8』は、“消えた米”を徹底取材しました。
「消えた米」の行方…“売り惜しみ”が発生
2024年12月の米の相対取引価格は、2万4665円となり4カ月連続で過去最高値を更新。
東京・練馬区のスーパー「フレッシュひかり」でも、大きな影響が出ていました。
「フレッシュひかり」大貝 満主任:
(5kgあたり)約4800円になりますね、例年でしたら約3000円で売っています。高すぎると思います。(仕入れも)思うように頼めないし、仕入れ先が(在庫)ないって言いますね。
恵方巻きですが、去年は約400円でしたが、今年は537円でやらしてもらっています。お米がここまで高くなかったら、値上げはしてなかったと思います。
スーパーなどの小売店だけでなく、様々な企業が米の価格の高止まりなどを理由に商品を値上げする中、農林水産省は1月31日に、米の流通が滞っていると判断される場合、「1年以内に買い戻す」ことを条件に、政府の「備蓄米」を販売できるようにする、運用の見直しを決めました。
さらに、江藤農林水産大臣は、「生産量は(前年比で)18万t増えている。足りないはずがない。必ず米はある。しかし商取引だから、出さないことはけしからんとか、そういうことは言えない。しかし、その状況が健全ではない」と発言。
前年に比べて2024年の生産量は18万t増えたのに、集荷量は21万t減るという現象が起きている背景として、いままでにない新規の中小業者や個人が、農家から直接高値で仕入れたり、今後も価格が上がることを予想して、買い集め・出し渋るところが増加していることが挙げられます。これにより大量の米の行方が分からなくなっているのです。
お米の流通に詳しい日本総合研究所チーフスペシャリストの三輪泰史氏は、今回の価格高騰の要因をこう読み解きます。
日本総合研究所 三輪泰史氏:
農水省が「消えた」というある意味で強い表現なんですけども、通常のルートとは違うところの人はなぜ入ってくるのかというと、お米を仕入れて高く売ればもうかるからと、お米を普段扱っていない人が出てきているんです。この方々は、少し強調すると、“転売”に近いような形での仕入れと売りになっていくので、少しでも高いところに売れればそちらのルートを選んで行くんです。
通常のルートであれば、それぞれの商慣行の中では信頼関係があるので、相場に合わせて売っていくんですが、そうじゃないところで異常な高値で買っていくと、JAであったり、卸業者はそこに負けないように高い値段で仕入れなくてはいけないということで、全体が“消えたお米”の影響で、値上がりにつながってしまっているという状況なんですね。
――例年であれば新米が出回れば値段が下がりますが、今回はそうではないですね?
通常であれば、量が足りるようになったら値段が下がるというのが基本路線なのですが、今回、量はあるけど足りないというのが“消えた”部分なんです。この部分がちゃんと市場のルートに流れていれば、もう値段は手頃な価格に戻っているはずなんです。
いわゆる「売り惜しみ」「出し惜しみ」が発生しているので、市場のバランスが崩れて値段が上がっていると。
『めざまし8』が、実際にどの程度平年より価格が上がっているのか調査したところ、回答をした47店舗のうち46店舗が「平年より高い」と回答。
高騰の幅は、平均で1.57倍、最大で2.5倍という店もありました。
“食糧危機”条件付き備蓄米放出の理由
農林水産省が打ち出した、「備蓄米放出の運用方針の見直し」によって市場にどのような変化がもたらされるのでしょうか?
三輪氏によると、「運用方針見直し決定」という動きだけでも、「今あるお米は早めに売ってしまおう」という動きが加速し、中には早く売るために価格を下げるところも出てくる可能性があるといいます。
また、もし備蓄米が実際に放出されたら、市場に出回る米の量が急増するため、放出から1カ月で今の価格から最大3割ほど安くなる見通しです。
――農水省はなぜ今年になってこの決断を?
日本総合研究所 三輪泰史氏:
やはり、備蓄米の放出というのは米の流通からするとかなり強い影響をもたらすものなんですね。ですから、これまでは大凶作などで行っていたのですが、今回の価格の高騰、農水省が高いと考えているレベルをはるかに超えていて、もっと言うと我々消費者が気軽にお米を食べられないような状況になってくると。「食糧危機」ものがないのと同じくらいの状況だということで、今までの制度を拡大する形で不作・大災害と同じ形で緊急対応しようと。大きな政策の転換だと思います。
――今回、「1年以内の買い戻し」が条件となっていますがこの理由は?
今、備蓄米を入れると市場の米が増える形になりますので、そのまま次の新米のシーズンになってしまうと、米の量が必要な量より増えてしまうと大暴落してしまう。
市場に米がありすぎると値段が下がって農家が困るので、ちゃんと買い直して、きれいにリセットした上で新米のシーズンを迎えましょうと。
――今の価格から3割程度安くなるといいますが影響は?
今の値段が高すぎるので、そこから3割だと昨年、一昨年までの米の価格からは「高い」ところまでしか下がらないというところです。
今は高すぎるけれど、今までは安すぎたと。過去よりも少し高いなと思うかも知れませんが、農家の方が赤字で作っていた部分もあるので、そこは必要な値段として消費者の方に納得していただく必要があると。
MC谷原章介:
就農者の高齢化はどんどん進んでいくじゃないですか、赤字でも作り続けられるのって、メインではなく今まで作ってきて、子供たちも育ったし多少赤字でも…という方が結構いらっしゃると思うんです。年金もありますし、小規模農家がそれで維持されているのは本当にありがたい話と同時に、このままの現状で皆さんいつか年をとって作れなくなると、主食の米をきちんともうかる形で作れるようになる農業を作っておいてもらわないと、僕たちが困りますよね。
日本総合研究所 三輪泰史氏:
そうですね。なので、まさに今、規模の拡大であったり、法人の参入であったり、スマート農業という最新のハイテクを使ったような農業がどんどん広がっています。そうすると、適正な価格、赤字にならない水準というのも下がっていくので、我々消費者としても米が食べやすくなると。海外からの輸入米でなく、国産の米が食べられる状況になるかなと。
(『めざまし8』 2025年2月3日放送より)
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