それからしばらく後、雨は、陽平から連絡をもらう。陽平は太陽から、雨のために作った花火を上げてほしい、と頼まれたのだという。それは太陽が桜まつりのために用意していた予備の花火だった。
約束の日、雨は水辺の森公園で陽平や春陽と再会。印半纏姿の春陽が点火スイッチを押し、打ち上げられる花火。夜空には、あの赤い傘のような花火が花開いていた。「雨は、この世界に必要だよ」。雨は、太陽が残してくれた“心を支える言葉”を思い出していた。
それから数年後。雨は東京の郊外にパティスリー「SUN&RAIN」を開く。雨が身につけていた制服のボタンの一つは、太陽のコートのボタンだ。雨が客と談笑していると、ふいに雨が降ってきた。太陽が約束してくれた天国の雨だと気づき外に出た雨は、あの赤い傘を開き、赤い傘と未来の約束を叶えたことを報告して…。