ナレーション収録を終えた古川さんにインタビュー。「すごくドキドキした」という“語り”初挑戦の手応えや、師弟を見守って感じたこと、チンドン屋さんとお芝居の共通点、古川さんにとっての師匠などについて聞きました。

古川琴音 親方の“ある言葉”に「私自身も思い当たる」

――弟子の風知さんと親方の足立さんを見つめて、どんなことを感じましたか?

風知さんにすごく感情移入しました。チンドン屋さんに対する憧れの気持ちや、うまくなりたいという気持ち、熱い思いをたくさん持っている方だと思います。だからこそ「もっといろいろなことをできるようになりたい」という思いが先走って空回りしてしまう。そういう経験は、私もよくあります。

風知さんはいつも笑顔ですが、その裏には“なりたい自分”と“まだ力が届かない自分”のギャップに対する葛藤があるのではないかなと感じました。

でも、そんな風知さんを親方の足立さんは大切に思い、丁寧に見ていらっしゃると思います。足立さんも、風知くんに“大きな決断”を下すことに葛藤があったと思いますが、弟子を信じようとするその姿に、胸が熱くなりました。

――足立さんの言葉で印象的なものはありましたか?

「(仕事に)慣れた分の壁に当たっている」という言葉です。私自身も思い当たることがあるので「見抜かれている…」とも感じました。昔はもちろん、今も「未来の自分が見ると、慣れが入っているかも」と思うので、そうならないように気をつけています。

また、足立さんは風知さんに「とにかく周りを見て」と指導しながら、「自分もできているわけじゃないから、一緒に注意していこう」とおっしゃっていました。その姿を見て、もしかしたら足立さんもかつてお師匠さまに同じことを言われて、分からないながらも手探りでやってきたのかなと想像しました。

古川琴音 チンドン屋さんは「ジャズみたいでカッコいい」

――令和の時代、見かける機会が少なくなったチンドン屋さんですが、どんな印象を抱きましたか?

ジャズみたいでカッコいいなと思いました。特に、神田祭での足立さんの演奏がすごく素敵でした。チンドン屋さんは1人で音を奏でればいいのではなく、仲間の演奏や、宣伝の言葉を言うタイミング、周りのお店の状況、街の環境、いろいろなものとセッションしなければいけないので、見ている以上に深い仕事なのだろうなと思いました。

――お芝居に通じるところもあると思いますか?

たくさんあると思います。舞台もただセリフを覚えて言うだけではなく、相手の顔を見ることで、演技が変わったり、新しいことを発見したりというのがたくさんあります。私も初めは風知さんのように、大好きな舞台に立てていることがうれしくて、そんな自分に満足しそうになるときもありました。

でも、作品として伝えたいことを伝えるために、もっと自分の塩梅を考えて周りの人と一緒に作り上げていくことを意識しなければいけないと気づいて。なので、チンドン屋さんと俳優は違う職業ではありますが、とても共感しました。

――チンドン屋さんに挑戦してみたいと思いましたか? 

はい。花形のチンドン太鼓をやってみたいです。