大気の乾燥状態が続いている影響もあり山火事や住宅火災により広がり続ける大規模火災は、人々の日常を脅かしています。

2025年11月、大分市・佐賀関で発生した大規模火災からまもなく2カ月。大規模火災に見舞われた街は今どうなっているのでしょうか?
『サン!シャイン』取材班は、佐賀関の現場へ向かいました。

火災の激しさ物語る焼け落ちた自宅

取材スタッフ:
現在も立ち入りが一部規制されていて、燃えてしまった家やがれきなどが残されたままとなっています。

上空から見ると、海沿いの住宅密集地の中に今も広がる焼け跡が。
屋根が落ちた家、骨組みだけの家。手つかずのままの家も多く危険があるため、一部で立ち入り規制が続いています。
こうした中、出会ったのは、田中地区の区長・山田二三夫さん。2カ月前も私たちの取材に応じ、被害状況を話してくれていました。

佐賀関・田中3区 山田二三夫区長(2025年11月取材時):
もう…(自宅は)ない。残った物は携帯と船が残った。なかなか自宅の方には戻れない。こんなに延焼するとは思わなかったので、気がつけば燃えてたな…。

焼け落ちたという山田さんの自宅。

現在の様子を山田さん自身が映した映像を見ると…、玄関付近は、外壁やドアが残るものの、一歩入ると、室内全体がすすで覆われています。

2階には、飲み物などが残された冷蔵庫や、ゆがんだ食器棚など、生活の痕跡がそのまま残されていました。

リビングだったという場所には物が散乱。窓ガラスは落ち、天井は断熱材がむき出しに。
3階は危険なため、上がることができません。

山田二三夫区長:
被災をした11月18日から全く気持ち的にはもう変わってないんで。もう当初からどうにかせんと悪いなということだけなんで、今後、見据えて動いていかないと。先は長いでしょうけどね。

きょう15日から公費による家の解体が随時行われます。被災地域では、片付けや思い出の品を最後に探す住民たちの姿が見られました。

片付けや思い出の品を探す住民たち

田中地区の住民:
きょう最後お別れしようと思って。「さよなら、さよなら」って家の中で一人で言いながら。せっかく自分で作った家がないっていうのは…、ほかのものは買い戻せても家はなかなか買い戻せないし。

こちらの女性が火災に遭った自宅から運び出したのは…。

田中地区の住民:
お皿と、子供、孫たちが遊ぶジェンガがきれいに残ってる。テレビの下は大丈夫だったんで。(孫たちが)このジェンガでうちに来て遊んでたから「これがあった!」って。

この地域は、三方を山林に囲まれたすり鉢状の地形で、海からの風を巻き込み炎が広がりました。風向きによっては激しく燃えなかった場所もあったとのことで、何度か足を運び、無事だったものを運び出しているといいます。
その中で一番うれしかったというものを、現在、身を寄せているという近くの実家にお邪魔し、見せてもらいました。

田中地区の住民:
これがみんな写真ですね。きちんと残ってるでしょ。こんなのね、一緒にちょうどあったんですよ。だからみんな持ってきました。
すごいうれしいです、これ(孫が幼いころの工作や写真)。他の物に変えられないじゃないですか。今度、思い出を残すって…ないんだもの。せっかく生き残ってくれたんだから、ね。

45年以上漁師をしている男性が自宅から掘り起こしてきたのは…。

漁師をしている田中地区の住民:
これはおもりとして使えるっちゃ。これから漁に行ったら使うわけやけど。これ(おもり)がなくなったらな、これを溶かして使う。
(これは)釣り針。他の使うと魚が釣れるかなとかいう、ちょっとしたね、あるわけ。使い慣れとうけんな。

佐賀関はブランド魚、関あじ・関さばが水揚げされる漁師町。漁の道具を製造する企業も被災したため、今ある道具を大切に使い、漁を守るといいます。

被災地の今後

少しずつ日常を取り戻す住民たち。

被災した建物はきょう15日から公費解体を開始。12月26日には避難所が閉鎖され、希望する住民は、市が用意した最大で2年間入居できる、10カ所の公営住宅等での仮住まい生活を始めています。その後は、自力で住宅を再建する、もしくは復興市営住宅に入居することになります。

一方で、町の再生に向けては課題も…。
都市防災に詳しい大分大学の小林祐司教授によると、佐賀関特有の問題ですが、以下のような課題があるといいます。

・地域の高齢化
65歳以上の住民が約6割と地域の高齢化が進んでいるため、スピード感をもって進めないと、 “諦め感”につながる恐れが。

・空き家が多く道幅が狭い
空き家が多く、所有者が不明な土地を勝手に処理できない法律的な問題がある。
そもそも道が狭いなど物理的に工事が難しいという問題も。

187棟の住宅が焼失した大規模火災。いち早い復興と共に、被災者への切れ目のない支援が求められています。
(『サン!シャイン』2026年1月15日放送より)