救急車の出動が増える12月。東京消防庁によると、出動件数は3年連続で過去最多を更新。『サン!シャイン』は、命を救う最前線で働く消防隊員に密着しました。

腹痛を訴える40代男性…細かく聞き取り

東京消防庁 消防司令塔 滝澤敦隊長「では、本日もこれから一日、よろしくお願いします。気をつけ、わかれ!」

取材したのは、東京消防庁「救急機動部隊」。全員が救急救命士の国家資格を持つ隊員で構成されています。特定の消防署には所属せず、時間帯によって救急需要が高い地域で待機。いち早く現場に急行します。

【午後4時ごろ】

取材開始早々、夕方の東京駅から出動要請が。40代の男性が腹痛で苦しんでいるといいます。

隊員「そちらに向かっている救急隊ですが、何時ごろから腹痛があるんですか?」「吐いたり下痢とかはないですか?ご病気は特にないですかね?」

現場に向かいながら「いつ発症したか」「どんな症状か」などを聞き取ります。
救急車に乗せると、さらに細かく聞き取り。

隊員「痛むのはどの辺りにあります?」

男性「ここら辺」

隊員「ちょうどこっち?」

男性「はい」

隊員「ちょっとおなか押していきますよ。こっち痛みはないです?」

症状以外にも、食事や排せつ状況など痛みの原因を会話から探っていきます。そして…。

隊員「もしかしたらその辺の強い痛み、動けるのがしんどいくらいの強い痛みなので、尿管結石というものを疑ってはいるんですよ」

痛みの状況や男性の状態などから隊員が推測したのは、「尿管結石」。
その推測通り、男性は病院で「尿管結石」と診断されました。
細かく聞き取った情報を病院の医師と共有し、スムーズな処置につなげるといいます。

「尿管結石」で搬送された男性:
いろいろと「こういう症状かもしれない」とか親身に考えてくださって本当に感謝しています。

ひっ迫する119番通報…不要不急の通報も

指令管制員「火事ですか?救急ですか?」

119番通報に24時間365日対応するのが、東京消防庁の「総合指令室」。
東京消防庁管内に入る通報は1日で約3000件。
指令管制員が救急車の出動の指示や、通報者へのアドバイスを行います。

指令管制員「先ほどのお電話で救急車すでに向かってますので。お父さまって年齢おいくつになりますか?」

通報者「85です」

指令管制員「お父さまは今全く意識も呼吸もないような状態ですか?」

通報者「呼吸はちょっとこう口元とか動いてて。お父さん?」

指令管制員「もしもし。今お近くの消防署から救急隊だけじゃなく、応急処置ができる消防隊も向かってますので。到着まで声をかけていただいて、呼吸がしやすい体勢でお待ちください」

通報者「お父さん?お父さん?」

より多くの命を救うため、1人1人に寄り添う指令管制員。
しかし、中にはこんな通報も…。

通報者「階段から落ちて、息ができないって言ってるんですけど、来ていただいていいですか?」

救急車を手配するため詳しい情報を聞こうとしたところ、通報者の後ろで怒鳴り声が…。

通報者の後ろの声「行かねえからな、来たって」

指令管制員「もしもし」

通報者「ごめんなさい、いいです」

指令管制員「救急車を…」

電話は途中で切られました。

指令管制員「いいですって言ったんで」

緊急性の低い通報や、消防に関係のない通報が全体の約2割にのぼるといいます。

東京消防庁 総合指令室 消防司令補 城所恭祐主任:
(通報者の)お話をよく聞いて、緊急性があるのかどうかというのは判断して、場合によっては「こちらは緊急の通報を受ける場所なので」ってことで(通話を)切断することもあります。迷って症状が悪化するのが一番怖いので、迷ったら119番していただければと思います。

深夜の繁華街 通報者を捜索

【午前0時40分ごろ】

〈通報〉
「本部機動救急 特命出動 新宿区歌舞伎町大久保公園 けが人 男性転倒し頭部を受傷」

繁華街、新宿・歌舞伎町で男性が頭部にケガをしているとの通報が。直ちに救急隊員が現場に急行しますが…。

隊員「いないな」

隊員「いないね」

隊員「向こう側行ってみるよ」

隊員「了解」

取材スタッフ「見当たらないですか?」

隊員「そうですね、この付近で男性が倒れているということで来たんですけど」

通報場所の公園に駆け付けるも…そこにケガ人の姿は見当たりません。

隊員「いました?」

隊員「いないです」

隊員「これ一周ってことですよね?」

隊員「(通報者に)連絡してみます」

二手に分かれての捜索でも見つからず、通報者に連絡を試みますが…。

隊員「いまのところ応答なしです」

隊員「もう一周いい?」

もう一度、手分けをして探します。

隊員「いました?了解!いた」

ケガをした男性を発見。ストレッチャーに患者を乗せ、救急車へと向かう最中にも会話を欠かしません。

隊員「転んでから2時間くらいたってますね」

隊員「そういうことですか、病院探したんですね」

自宅で転倒したという50代の男性。
約2時間、病院を探すも見つからず、救急隊に通報したといいます。
無事、近くの病院に搬送されていきました。

119番通報の注意点

・つながらなくても切らずに待つ
一度電話を切ってしまうと、次にかけたとき順番が最後になる可能性も
・安全な場所から連絡 慌てず・はっきり・正確に
正確な場所、誰がどんな症状・容体かを慌てずに答える
住所が不明の際は近くの店舗名や交差点名などを伝える                  

救急車を呼ぶか迷った際は、救急相談センター「♯7119」に連絡をしてください。
看護師・医師・通信員などが緊急性について判断し、緊急性が高い場合は、救急車の要請を行い、緊急性が高くない場合は、受診可能な医療機関を案内してくれます。

(『サン!シャイン』2025年12月10日放送より)