高橋美幸「最後までどう生ききるかが大事」
――ドラマの制作を通して、ご自身の死生観に変化はありましたか?
高橋:増田さんや医療監修の田中裕之先生の話を聞くなかで、こはる(風吹ジュン)と同じように、最後にどう死ぬかより、最後までどう生ききるかが大事なんだと思うようになりました。
たとえ人生の最期を1人で迎えることになっても、それまでは自分で自分の尊厳を守って生きる、プライドを持って生きていけたらいいなと思っています。
河西: 「尊厳」は、この作品のキーワードの1つですよね。亡くなった方にも生きている方にも尊厳を持って接することが大事だし、草彅さんを見ていると、まさにそれを体現している方だなと思います。
草彅さんは「何かあっても、そばに人がいてくれることが一番価値のあることじゃないかと思う」ともおっしゃっていたんですけど、まさに、人は1人では生きられない。
そういう意味で、周りの人、特にそばにいてくれる人には感謝しなければいけないなと改めて思いました。
――今後の見どころを教えてください。
増田:第4話では、親から子への愛を知っていただけたらうれしいです。
高橋:六平直政さん演じる父親が、息子の遺品を整理しながらやり場のない怒りを樹たちにぶつける話ですね。これも、増田さんの経験を元に書かせてもらったものです。
増田:そうですね。第2話でも描かれていましたけど、理不尽な疑いや怒りをぶつけられるのは見ていて気持ちのいいものではないかもしれませんが、私はそれを受け止めるのも遺品整理人の役目だと思っています。なぜなら、いずれもその根底にあるのはご遺族さまから故人さまへの愛情だからです。
私自身、子どもを亡くされた親御さんに「親より先に死なないでね」と言われたことがあって、その言葉には「ご両親がこれだけ思っていてくれたことを故人さまが知ったら、どれだけ幸せだったでしょうね」としか返せませんでしたけど、そのとき、親の愛はこれほどまでに深いんだと身をもって知りました。だからこそ、第4話では、そんな親の愛を知ってほしいです。
河西:中盤からは、樹と真琴の関係が深まっていくなかで「遺品整理」はもちろん、「母娘の生前整理」「御厨家のサスペンス」など、さまざまな角度から「死」と「尊厳」を描いていきます。
前半で散りばめられた謎や伏線が解き明かされていくサスペンス要素も楽しんでいただきたいですよね。
高橋:そうですね。この物語は単に遺品整理のお話ではなく、草彅さん演じる一人の遺品整理人の “生きざま”のお話でもあります。
どう子どもと向き合い、人を愛するのか。さまざまな仕掛けは「尊厳」というこの作品の大きなテーマを引き出すためのもの。最後は “腑(ふ)に落ちる”展開になっているはずですので、どうぞ最後までお楽しみください!
増田裕次 プロフィル
遺品整理・特殊清掃の専門家として25年間業務に従事。2000年に遺品整理・孤独死の特殊清掃専門の遺品整理クリーンサービスを創業し、2010年に株式会社ToDo-Company として専門チームの孤独死清掃本部を設立。遺品整理人を育成している。
高橋美幸 プロフィル
脚本家。2024年、NHKドラマ『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士』が東京ドラマアウォードの作品賞(単発ドラマ部門)を受賞。代表作に『火花』(2016年/Netflix)、『クロスロード~声なきに聞き形なきに見よ』(2016年/NHKBSプレミアム)など。
河西秀幸 プロフィル
プロデューサー。2002年に関西テレビ入社。2007年に東京制作部に異動し『SMAP×SMAP』を担当。2010年『逃亡弁護士』でドラマ初プロデュース。その後、『ハングリー!』(2012年)『サイレーン』(2015年)、『銭の戦争』(2015年)ほか戦争シリーズ、『GTOリバイバル』(2024年)など多数手がける。2025年7月より関西テレビ東京制作部・部長に。
公式HP:https://www.ktv.jp/shumaku-rondo/
公式X:https://x.com/shumaku_rondo
公式Instagram:https://instagram.com/shumaku_rondo
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@shumaku_rondo
公式LINE:https://page.line.me/067ddwdg?oat_content=url&openQrModal=true
