木曜劇場『小さい頃は、神様がいて』のプロデューサーが、脚本家・岡田惠和さんと会話を重ね作り上げた物語やキャラクター設定などを明かしました。

木曜劇場『小さい頃は、神様がいて』(毎週木曜22時)は、19年前、あることがきっかけで「子どもが二十歳になったら離婚する」という約束を交わしていた主人公夫婦を中心に、登場人物たちの人生模様をユーモラスかつ、温かく描くホームコメディ。

『最後から二番目の恋』シリーズの岡田惠和さんが脚本を担当。主人公・小倉渉役を北村有起哉さん、妻・あん役を仲間由紀恵さんが演じ、毎話放送後のSNSには、夫婦の関係性やあんが抱えている“母”としての思いに共感の声が多く上がっています。

第4話で、舞台となる「たそがれステイツ」の1階で暮らす永島慎一(草刈正雄)とさとこ(阿川佐和子)が、孫の凛(和智柚葉)と真(山本弓月)を引き取ることに。今後、新たな展開が期待される本作の制作過程、撮影現場での北村さんや仲間さんをはじめとするキャストの様子などを、田淵麻子プロデューサーに聞きました。

岡田惠和が生み出す物語の魅力は「登場人物みんな愛らしいところ」

──本作を企画した意図、脚本を岡田惠和さんに依頼した理由を聞かせてください。

私は小学生の頃に、松雪泰子さんが主演を務められたドラマ『白鳥麗子でございます!』(フジテレビ)を見て真似をするくらい、岡田さんが書かれる作品が大好きだったんです。そういった理由もあり、いつかご一緒したい脚本家の方だったのですが、巨匠ですから、なかなかチャンスはないなと思っていました。

でも、「大人の離婚話をやりたい」という話を内々でしていたときに、岡田さんが「夫婦の話を書いていないから、やってみたい」とお話されているということを耳にしまして、今回ご一緒できることになりました。

離婚を前提とした夫婦の話という案は最初からありましたが、3世帯にするなど細かい部分は、岡田さんのアイデアです。

──なぜ、離婚前提の物語にしたのでしょうか?

夫婦の形は一つじゃないということが描きたかったことが大きいでしょうか。あとは、よく岡田さんと結婚の話をするのですが、時間にもお金にも縛りがあって、自由も減るし、「結婚する意味って何だろうか」と(笑)。

そのめんどくささの先に楽しさも、そこを経ないと得られないものもあると思うけど、失うものもあるという話をしていて。そこを描くために離婚前提にしています。

──岡田さんが書く脚本の魅力はどのようなところに感じていますか?

一つは、とにかく登場人物みんな愛らしいところですね。打ち合わせをしていると、岡田さんの人柄が反映されているから、登場人物全員が愛らしいんだな、と感じます。

私のような若輩者が何を言っても話を聞いてくださる方で、「大先輩だなんて思わないで、なんでも言ってくれていいよ」とおっしゃいます。私たちが突拍子もないことを言っても、「なるほど。面白いね」と受け入れてくださる懐の大きさをお持ちなんです。それが脚本にも表れているなと思っています。

──岡田さんとの打ち合わせで生まれた設定やセリフはありますか?

渉とあんが離婚することは決めていましたが、その過程で何を伝えるべきかということに関しては、たくさん話し合いました。

岡田さんが「孫を見られるのは人間だけ」とおっしゃっていて。動物は孫を見られるほど長生きしないらしいんです。つまり、そんなに長く結婚生活を営むのは人間だけ。1人の人と添い遂げるってすごいことだよね、と。

一方で、添い遂げることだけが正解ではないし、結婚や子どもの有無に縛られる必要もない。また、男女平等と言っても、女性にかかる負担が大きいという現実もある。ただ、問題提起をしたいのではなく、“そういうこともある”と自然に描ければと思っていました。

夫婦って一筋縄ではいかないし、1人で生きていくこととは別の大変なこともたくさんある。それでも結婚をする意味って何だろうと考えつつ、結婚をしなくても人生は肯定されるべきで、それぞれの形を肯定できたらいい。これが岡田さんとの共通認識としてあり、そんな思いを持ってドラマを作っています。