──3つの家族、夫婦、カップルを中心に描くことは岡田さんのアイデアとのことですが、この3世帯にした理由はありますか?
最初はもう少し年齢の近い3世帯ということを考えていました。でも、そうすると価値観が似てしまう可能性があるので、年代がバラバラの3世帯にしました。
実際、岡田さんはお孫さんの面倒を見ながらお仕事をされることもあるそうで、私自身も実家に子どもを預かってもらうこともあって。最近の共働き家庭は、子どもを保育園に預けつつ、助けてくれる家族がいないと回らないという話題から、そういう世帯も描きたいということになりました。
それならと、年が離れた3世帯にして、現状の日本では形式的な結婚ができないカップルもいて、孫の面倒を見る熟年夫婦もいて…と、今描くべき登場人物たちにしました。
渉(北村有起哉)の“ズレたやさしさ”はスタッフ陣の実話!?
──キャラクター設定が生まれた経緯を聞かせてください。
離婚が前提ということに加えて、それを切り出すのは女性側ということも最初に決まっていました。ですから、あんのキャラクターは、わがままで自分の言いたいことだけを言う女性には見えないように、慎重に構築しています。
渉に関しては、主人公なので、イラッとはするけど愛くるしさもある絶妙な人を意識しています。
また、岡田さんはあて書きなので、北村さんと仲間さんのイメージを含めて作ってくださっています。
──劇中で渉のズレたやさしさが多く描かれていますが、そういうネタはどこから出てくるのでしょうか?
岡田さんはいろいろな作品を手がけていらっしゃるので、「女性はこういうふうに思っているだろうな」と貯めてきているものがあるんだと思います。
あとは、私たち制作スタッフが過去にパートナーにイラッとした瞬間の実話が反映されています。あんが離婚の約束をしたシーンで、渉がニコニコとホールケーキを買って帰ってくるという描写がありますが、そういうものを含めて半分くらいは実話です(笑)。
──今後もそういうネタがたくさん出てくるのでしょうか?
そうですね。5話以降は、渉とあんの関係がどうなっていくか、ということにポイントが移るので、実話からは離れていくと思いますが。でも、前半は特に渉というキャラクターをつくるうえで、こういうイラッとした出来事と、「やさしさでやっているのがわかるから怒れないよね」という両面のバランスを意識しました。
渉に対してみんなが嫌いになってしまうと、ダメじゃないですか。主人公は愛されたほうがいいと思うので。
第4話で、渉から「アイス買ってくるけど何がいい?」と聞かれて、あんは「バニラが食べたい」と答えたのに、結局渉は「チョコがおいしそうかな~と思って」とチョコ味を買ってきたというエピソードが出てきますが、わざわざ買いに行ってくれたから怒れないですよね。その絶妙な線を大事にしています。
