更年期の年代に女性がかかりやすくなる病気と注意点について、専門家が解説しました。

女性が気になる話題について、スタジオで生討論を繰り広げるフジテレビ『ノンストップ!』の金曜恒例コーナー「ノンストップ!サミット」。

今回は、「男女で違う!かかりやすい病気やケガ」というテーマでMCの設楽統さんと三上真奈フジテレビアナウンサー、千秋さん、カンニング竹山さん、松居直美さん、『婦人公論』元編集長の三木哲男さんが話し合いました。

50代以上の女性が気をつけたい「動脈硬化」のリスク…普段の生活で気をつけるべきポイントは?

医師の高尾美穂先生によると、男性と女性では病気に気をつけるべきタイミングはまちまち。通風にかかるリスクは男性のほうが18倍高く、動脈硬化や膝の痛みのリスクは更年期以降の女性のほうが高い、などかかりやすい病気も男女によって異なり、「性差医療」と呼ばれて注目されているといいます。

更年期以降の女性で動脈硬化のリスクが高まるのは、「エストロゲン(女性ホルモン)」が急激に減少するから。「エストロゲン」にはコレステロールを値低く維持する働きがあるので、女性の場合は10代から50歳くらいまでは意識しなくてもコレステロール値が低く保たれることが多いのだそうです。

高尾先生が、体調に変化がない場合でも注意してほしいと語ったのが、「HDLコレステロール」「LDLコレステロール」「中性脂肪」の数値。番組の女性スタッフの健康診断の結果を振り返ると、食生活や運動習慣に大きな変化はなかったのに、36歳から一気に「LDLコレステロール」の数値が基準値を上回ったことが確認されました。

「脂質代謝の数値はLDLコレステロールだけでなく全体で見る必要があるが、健康診断で『要精密検査』と書かれていたら、できる限り病院に相談に行ってほしい。大きな病気になる前に、生活習慣を変える、薬を飲むなどできることがある」と高尾先生は指摘。

松居さんが「クラシックバレエもジムも続けていて、食生活も気をつけているのにコレステロール値が上がって、病院で遺伝だと言われた」と相談すると、高尾先生は「もちろん家系もあるし、原因は1つではないので、専門の先生に相談することが大切」と続けました。

コレステロール値が気になる人にオススメなのが、「肉の脂を減らして魚の脂を増やす」「トータルのカロリーを減らす」「アルコールを減らす」「食物繊維を多く摂る」などの食生活の改善。

加えて「可能なら毎日30分以上の有酸素運動も取り入れてほしい」とアドバイスをした高尾先生は、「毎日30分は厳しい…」というスタジオの声に「エスカレーターではなく階段を使うなど生活の中でできることを探してみて」と回答しました。

女性の「膝痛」は骨格が原因!?予防のための運動法は?

男性に比べて女性がなりやすいという「膝痛」は、男女の骨格の違いが大きく影響しているといいます。

高尾先生によると、女性はもともと骨盤が幅広く、膝が内側に寄りやすいため、腰から膝にかけての骨の角度が男性に比べて不安定。「しかも女性は筋肉量が少ないので、膝にかかる負担が大きくなっている」という高尾先生の説明に、千秋さんは「男の人のほうが膝痛を訴える人が多い印象だったのに!」と驚きを隠せません。

「膝痛は妊娠出産の経験のある/なしに関わらない」と補足した高尾先生は、「膝を曲げる→体を横向きにして膝をねじるようにして伸ばす」という膝痛を予防するためのスクワットも伝授しました。

千秋さんが「運動をしなければいけないとずっと思っているのに、なかなかできない」と明かすと、高尾先生は「膝痛で本当に運動したくなくなる前に、動かしておく習慣をつけてほしい」とエールを送りました。

女性の「うつ病」は男性の1.5倍!つらいときには迷わず専門家に相談を!

男性ホルモンの「テストステロン」が年齢とともに緩やかに減るのに対して、女性ホルモンの「エストロゲン」は更年期に一気に減るため、「うつ病」の患者数も女性のほうが1.5倍も多いといいます。

高尾先生は、「エストロゲンには不安にならないように気持ちを整える働きがあるのだが、更年期にはそれが一気に減るので精神のバランスを崩しやすい。ただし、ホルモンの影響以外にも要因があることが多い」と、「更年期」=「うつ病」と思い込んでしまうことの危険性も補足しました。

具体的には、「思春期の子どもと接するストレス」「子どもが急に手が離れる喪失感」「仕事の負担増」「介護」と、更年期と重なるストレスの例を挙げると、松居さんは「不登校だった子どもが中高生で手が離れたときに、子どもに泣きついたことがある。巣立ったあとも泣き続けて、2年ほど経っても苦しくなることがあった」と経験を語りました。

貼り薬や塗り薬、飲み薬でエストロゲンを補う「ホルモン補充療法」でメンタル不調を緩和することができるそうで、「保険適用で月1000円前後で治療することも可能なので、専門家に相談を。同時に、周囲に自分の状態を知ってもらうことも大事だということを忘れずに」と高尾先生。

髪の毛を送るだけでホルモンを数値化し、閉経にどこまで近いのか目安を示してくれるサービスや、寝る時に装着するだけで基礎体温を測定し、生理周期や睡眠の質を教えてくれるアイテム、睡眠の質を測ることができるリングなど、体調と向き合うための便利グッズも紹介され、三上アナは「漠然と不安なことが数値化されると、わかりやすい」と興味を持った様子でした。

閉経後も子宮頸がん検診は必要?男性が気をつけるべき病気は?視聴者の質問に高尾先生が回答!

高尾先生は視聴者からの質問にも回答。まず「閉経した後も子宮頸がん検診は受けたほうがいい?」という質問に対しては、「子宮頸がんは性交渉で運ばれるウイルス。性交渉がなければ受けなくてもいいかも、とは思うけれど(閉経によって)リスクが下がるわけではないので、2年に1度の自治体の検査は続けてほしい」とアドバイス。

「生理周期が乱れてきたのだが、どの程度で婦人科に行くべき?」という38歳女性のお悩みには、「40代で生理周期が急に短くなったら更年期の入り口なので、一度婦人科に行ってほしい。あるいは、生理が2ヵ月空いたら相談を」と具体的に回答しました。

また「男性が気をつけるべき病気は?」という57歳男性の質問には、「健康診断の結果で異常を指摘されたら、絶対に放置せずに病院へ」と即答。

「体調不良の原因はメタボやアルコールの摂取量、睡眠が思うように取れていないなどいろいろあるので、生活習慣と健康診断の結果などを全体的に見て判断する必要がある」という高尾先生の言葉を受けて、「食事に気をつけなければいけないと思っていたのに、焼肉弁当作ってきちゃった…」と竹山さんは反省しきりでした。

『ノンストップ!』(フジテレビ)2025年9月26日放送より