今年(2025年)6月、和歌山県白浜町「アドベンチャーワールド」のジャイアントパンダ4頭が中国に返還されました。

観光の柱としてきたパンダが突如いなくなってから約3カ月、『サン!シャイン』は、白浜町の今を取材しました。
“パンダのまち”の今…空のパンダ舎周辺に行列?
今から31年前の1994年、世界で初めて中国と共同でパンダの繁殖研究を開始した、アドベンチャーワールド。

31年間で生まれた赤ちゃんパンダは17頭。
関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると、その経済効果は、31年間で約1257億円にも上りました。

全4頭のパンダ、メスの良浜、その子供の結浜、彩浜、楓浜がいなくなった、アドベンチャーワールドは、今どんな様子なのか?

9月6日に取材班が訪れてみると、パンダ舎周辺にはたくさんの人たちが詰めかけていました。

実はこの日は、6月に中国に帰ったお母さんパンダ・良浜の誕生日ということで、特別にパンダがいたエリアを見学できるイベントが行われていたのです。

パンダたちはもういないものの、パンダたちが遊んでいた屋外運動場に入り「ここに座って」「らうちゃんおったところや!」と興奮気味にシャッターを切るパンダファンたち。

地元のパンダファン:
らうちゃんがよくこうやって寝てたんです、ここに座って食べていたんですよ。
その目線を…こんなふうに見えてたんだなぁ。

千葉から来たパンダファン:
ここ中から笹もらって、良浜がよく食べてました。ちょっとコンクリの塗装も剥げてる。

滋賀から来たパンダファン:
姿はなくても、あの子たちがいたこう残り香とか、なんか空気は絶対あると思うんで。

それぞれの記憶と共に、今はいないパンダとの思い出に浸るファンたち。
中には、パンダたちが帰ってしまった寂しさに、けりをつけに来たという人もいました。

大阪から来たパンダファン:
4頭が(中国に)旅立ってからずっとつらくて、ここに来られなかったんですね。
この現実を受け入れられるのかなっていうのをすごく不安でしたし。ちょっと、重い腰を上げて勇気を出して参りました。
「あの子たちは行ってしまったんだな」っていうのを痛感して、それをこう…実感するために、きょう来たっていうのもあったので。
パンダのお土産にパンダルームも健在
パンダ一色だった町の様子はどうなっているのか。白浜町の土産物産店をのぞいてみると、多くのパンダの商品が棚に並んでいました。

「まつや」北井さつき店長:
変わらずパンダの商品、パンダがついてる商品、売れていますね。変わらず納品もしてもらっていますし、結構かわいいんで売れるんですね。いる、いない関係なく。

あえて、「パンダ」を続ける施設は他にも…。
元々あった“パンダルーム”を残すことを決めた、「南紀白浜マリオットホテル」。この日は、千葉から来たパンダファンが宿泊に訪れていました。

千葉から来たパンダファン:
すごい…きょう1日、明日まで堪能させてもらいます。

部屋の中は、まさにパンダづくし!壁にも、窓にもパンダの姿が。

「南紀白浜マリオットホテル」セールス&マーケティングマネージャー
北原信行さん:
ここでパンダが生まれて育ったっていうところ。いわゆる聖地ではないですけど。
コンテンツのひとつとして、残っていって、この先も色々なことができていけばいいかなと思っています。

31年、パンダが“いた”白浜町。パンダたちが去って3カ月近くたった今も、その思い出を大切にしながら、楽しむ人たちの姿がそこにはありました。
(『サン!シャイン』 2025年9月25日放送より