――中島歩さん演じる川原洋二も「川原何某(なにがし)」の愛称で話題となっています。川原のキャラクターはどのように生まれたのでしょう?
井上:西谷さんが「中島歩さん、すごくいいよ」と教えてくださったんです。私、ラジオを聞きながら仕事しているんですけれど、たまたまその日聞いていたラジオに中島さんが出ていらして、しゃべりが独特で「面白い!」と思って。
連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)ではとってもイケメンさんの役でしたが、中島さんはお顔がすごく良いからこそ、この話し方を生かしたら面白くなると思って、川原のキャラが立っていきました。
「なにがし」は、田中みな実さん演じる町田百々子のセリフにたまたま「川原何某」と入れたら、意外とウケて良かったです(笑)。最近あまり聞かないワードだから耳に残ったのかもしれませんね。

西谷: 僕が最初に中島さんを見たのは、長澤まさみさんと出ていたKINCHOのCMです。2人が並んで、長澤さんがずっと関西弁で話していて、中島さんはほとんどしゃべらないんですけど、その佇まいがすごくいいなと思って。
今回、NHKで中島さんをご覧になっていた方は、役柄のギャップにショックを受けたかもしれませんけれど(笑)。やっぱり彼の素晴らしい存在感は二枚目なルックスと湿気のあるしゃべりというギャップですね!この前、友人が、いち視聴者として「川原役の人は芝居が上手いのか下手なのかわからない」と言っていて、これは新鮮な感想だなと思いました。
井上:役者さんにとっては、嬉しい褒め言葉ですよね。
西谷:中島さんは芝居が大好きな方ですから、現場では何でもトライしてくださり、スタッフは笑いっぱなしでしたね。
毒母ではなく“毒父”を描きたかった 誠治役・酒向芳のすごさ
――第8話で過保護なあまり愛実を部屋に閉じ込めた父・誠治(酒向芳さん)も、毎話、強烈な印象を残しています。
井上:物語で「毒親」として描かれるのは、だいたい母親なんです。私もそういう作品をたくさん書いてきました。けれど実際、お父さんに反抗できないという人もいっぱいいて。その自立を描きたくて「毒父もの」をやってみたいと考えました。

西谷:酒向さんは現場に立ったときの感情をすごく大事にする方です。
撮影序盤、誠治が川原に対してまだ好意的だったシーンを撮っていたとき、今後の展開は伝えていないのに、酒向さんが「監督、やっぱり信用ならないね、あの男(川原)は」って。誠治として、川原のことを見抜いていたんです。すごいなと思いました。そう感じさせた中島さんの芝居もすごいですけど(笑)。
――今後の展開や見どころをお願いします。
井上:ここ数年、特殊能力があったり、事件を解決できたりする主人公の活躍するドラマが多いですけれど、『愛の、がっこう。』の登場人物たちは、「活躍できない」人たちです。本作の登場人物たちの特殊能力は、言うならば“過去の傷”。深く傷ついた経験があるから深く愛せる。そんな愛実とカヲルの愛しい結末をぜひ見守ってください。
西谷:2人とも、上手くいかないことばかりだけど、一生懸命生きている。第6話の“遠足”で一区切りあり、それから事件が起こり、第9話からはいよいよ最終章として楽しみに観ていただければと思います。
『愛の、がっこう。』第9話は、9月4日(木)22時より放送です。
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