7月1日に山梨県側で山開きを迎えた、日本一高い山「富士山」。

近年は、軽装やサンダル姿で登山する外国人登山客が問題視されていましたが、今回の山開きを取材すると、これまでとは違った“外国人登山客の富士登山”が見えてきました。

富士登山の玄関口である「吉田口五合目」。今年2025年も多くの外国人登山客が訪れていましたが、例年に比べると、服装が明らかに変化しています。
富士山レンジャー:
今年は防寒着、レインコート、登山に適した靴、この3つをちゃんとしてないと通しません!

登山者に対する安全指導を行う、「富士山レンジャー」の権限が今年から強化され、軽装の登山客の入山を“拒否”できるようになったのです。
装備を持ち合わせていない場合は、5合目にある売店での購入かレンタルをすすめることになっていますが、中には購入を渋り登山を諦める人も。

登山を諦めた外国人観光客:
レインウェアがパンツだけで3000円するのよ。費用がかかるからやめたわ。

さらに、2024年は2000円だった入山料は、4000円に。
他にも十分な休息をとらず一気に山頂を目指す「弾丸登山」対策として、鉄骨のゲートを設置。夕方から登り始める「駆け込み登山」対策として、2024年より2時間早く午後2時に閉まるように変更となりました。

富士山レンジャー:
富士山に登山をするんだという気持ちをしっかり持って、観光ではなく、“登山”という気持ちをしっかり持って、事前に情報収集をきちんとしていただきたいと思います。
「こんな平和な週末…何年ぶり?」指導員も驚く“変化”
標高約2720m、7合目にある山小屋「日の出館」。現在も宿泊客の7割が外国人登山客だといいますが、ここにも“変化”が出ていました。

「日の出館」 中村薫さん:
前年度と比べるとだいぶ、ちゃんとした支度をしてくる方が多いかと思います。
アメリカからやってきたという18人組の登山客がいたので、装備が十分でないと登れないことを知っていたか尋ねてみると…。

アメリカからきた登山客:
知っていたよ、ウェブサイトで(知った)。

午前0時。標高約3100m、8合目にある山小屋から、登山道の安全を確保する巡回指導員の太田さんたちに密着しながら、山頂を目指すことに。

『サン!シャイン』が2年前に取材したときと同じルートで山頂を目指しますが、2年前には登山道を埋め尽くす数百人規模の一団がおり、登山道に入りきらない人が立ち入り禁止エリアに侵入する場面も見られた場所が、今年は人の気配すら感じない、暗闇が広がっていました。

さらに、2年前は高山病や低体温症などで、ぐったりする外国人が続出していた標高約3200mにある山小屋「白雲荘」は、装備万全の登山客が、山小屋グルメを堪能していました。

日本人登山客:
ちゃんとウインドブレーカー着て、バッグ背負って、かなり変わりましたね。見ていて分かります。大丈夫かなと思う人がいない。逆に心配してもらっていますけど。
その後も、登山道でトラブルに遭遇することはありませんでした。

富士山登山巡回指導員 太田安彦さん:
だいぶ安定して落ち着いている気がしますね、特にトラブルもなく。こんな平和な週末…何年ぶり?
装備が整っていても注意が必要なのが『山』
新ルール導入で、多くの登山客が指導に従い、目立った混乱はみられなかった、山開き。
しかし、五合目に設置された救護所では、下山中に体調を崩したという登山客の姿が…。

血中酸素濃度低下による高山病の疑いがあるということで、看護師の処置を受けた登山客。他にも、下山中に転倒しケガをしたという人も訪れていました。

富士山5合目・救護所 堀田麻由美看護師:
皆さん、登ることに必死で下ることを考えてない方が多いので、そこも十分に、「山に簡単な山はない」と思ってほしいんですよ。どんな山でも簡単ではないので、常に不測の事態はあると思って臨んでほしいです。

富士山登山巡回指導員 太田安彦さん:
装備が100%しっかりしていても、(天候次第で)低体温症になることは往々にしてあります。なので、そういった時に無理な行動をしない、リタイアする、登山を中止にするそういった判断も必要になってくると思います。
(『サン!シャイン』 2025年7月7日放送より)