いよいよ典子の雑誌グラビア撮影日。温泉宿の脱衣所では、バスローブ姿の典子とマネージャーとして同行してきた千明が撮影の説明を受けていた。

そわそわと落ち着きなく、硬い表情の典子。しかも撮影には、宿に住み込みで働いていて、俳優もやっている男性も参加するという。千明が心配そうに見守るなか、撮影が始まった。

カメラマンの指示に従い、典子は笑みも浮かべながら、順調に撮影を進めていく。

しかし、湯舟に入ってきた男性と目があった途端、浴場に絶叫が響き渡る。なんとその人物は、典子の夫・水谷広行(浅野和之)だったのだ。

2人を見守る千明は、「私はなんでこの展開を予想できなかったんだろう」と嘆きながらも、「まあでも、これが運命か」とポツリとこぼす。

律子(石田ひかり)が和平(中井貴一)に語る“クソ野郎”な夫の所業

同じ頃、鎌倉市役所。早田律子(石田ひかり)から職員食堂に行ってみたいと言われた和平は、急いで食堂に向かうも間に合わず、買ってきたお弁当やサンドイッチを屋上で食べることに。

そこで律子は、これまでの来歴と夫について語り始める。

大学を卒業してすぐに結婚し、夫の仕事でずっと海外暮らしだった律子。彼女たち夫婦は子どもを望み、あらゆる不妊治療を試みたが、子どもを授かれなかったという。

夫の「子どもがいない人生を楽しむことにシフトしよう」という言葉に、いい人と結婚したと幸せを感じながら暮らしていた――半年前に夫が死ぬまでは。

死後、夫には愛人と4人の子どもがいたことが判明。しかも先ほどの言葉を律子に言ったとき、すでに2人の子どもがいたのだ。

これまで何が正しい選択かをよく考え、誠実に生きていれば幸せでいられると思ってきた彼女にとって、人生を否定されるような裏切り。

そこで律子は“間違ったことをしたい、むちゃくちゃな人になりたい”と思ったそう。それが「復讐」だと語気を強める。