更年期にあらわれる頭痛に、“これって更年期特有の症状なの?”、“いつまで続くの?”と不安を感じている人も多いはず。
実は更年期特有の頭痛というものは存在しません。更年期に頭痛が起きることで更年期特有の症状なのでは?と感じている人もいるのではないでしょうか。この記事では、更年期と頭痛の関係性や日常生活で役立つ対処法を紹介します。

頭痛の原因は更年期だけではない

更年期だからといって、特有の頭痛が起こるわけではありません。

女性に多い片頭痛は更年期に入ると、女性ホルモン(エストロゲン)の変動が落ち着くため、症状が軽減する傾向があります。

頭痛が続くときは、他の疾患の可能性も考えましょう。更年期頃から血圧が高くなりやすくなるなど、更年期以降はさまざまな病気にかかるリスクが高まるため、今までよりも健康管理を意識する必要があります。

また、頭痛を“いつものこと”と捉え、市販の鎮痛剤を常用している人は注意。鎮痛剤を飲みすぎると、薬物乱用頭痛になってしまうケースがあります。安易に自己判断せず、専門外来を受診しましょう。

更年期に起きる頭痛には“環境因子”も関係する

更年期症状は、家庭生活や仕事といった環境因子が影響を及ぼします。例えば、管理職への昇進によりデスクワークやパソコン作業の時間が増加し、長時間同じ姿勢を続けたことで筋緊張性頭痛が起きやすくなることもあるでしょう。

また、仕事上の責任が増え、ストレスがたまりやすくなる人もいるかもしれません。環境因子も関係している可能性があるため、症状を改善するために生活環境の見直しや適切な対策が必要です。

更年期症状の対処法!3つのSTEPを紹介

更年期特有の頭痛はありませんが、更年期症状にはさまざまな要因が複雑に絡んでいます。毎日の生活から少しずつ見直すことが、症状を軽くする近道です。

ここでは、更年期の症状を軽くするための方法を3つのSTEPで説明します。

【STEP1】生活習慣を見直そう

血行を促進するケアを取り入れると、筋緊張性頭痛の予防や症状の緩和が期待できます。毎日実施しやすい、ストレッチやヨガなどの軽い運動もおすすめです。夜は湯船につかり、体をしっかり温めましょう。

セルフケアをしながら生活習慣を整えることが、更年期症状を軽減する第一歩です。毎日続けられる範囲で、無理のない生活改善を心がけていきましょう。

【STEP2】セルフケアをしよう

生活習慣を見直してみてもなかなか症状が改善しない、でも病院に行く時間もないという場合には、ドラッグストアなどで購入できる漢方薬やサプリメントを試してみるのもひとつの方法。

更年期症状は女性ホルモン(エストロゲン)の減少が関係しているため、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをするエクオールの摂取がおすすめです。エクオールを摂取することで、更年期特有の症状の軽減が期待できます。エクオールは、大豆イソフラボンに含まれるダイゼインが腸内細菌によって代謝されてできる成分。
ただし、大豆からエクオールを作り出せるのはエクオール産生菌と呼ばれる腸内細菌を持つ人のみ。日本人の場合、エクオールを作れるのは2人に1人ほどといわれています。

エクオール産生菌を持たない人は、大豆製品を摂取してもエクオールとしての効果は期待できません。このような場合は、適切な量のエクオールのサプリメントを服用するのがおすすめです。

【STEP3】病院を受診しよう

頭痛の症状が改善されない場合は、病院の受診をおすすめします。

頭痛への対処法として漢方薬が使用されることがあります。呉茱萸湯(ごしゅゆとう)や五苓散(ごれいさん)、筋緊張性頭痛には、葛根湯(かっこんとう)などが処方されます。

つらい頭痛に悩まされている人は、早めの受診を検討してみてください。

この記事の監修者
婦人科医・医学博士|鈴木 美香 医師

—   プロフィール  —
産婦人科医・医学博士。婦人科、女性医学、漢方医学を専門とし、予防医療や労働衛生にも精通。多数の専門医資格を持ち、聖隷健康サポートセンターShizuokaの所長として活躍。国際学会での受賞歴もあり、共著書「フローチャート女性漢方薬」を出版。静岡県立大学客員教授も務め、女性の健康管理と予防医学の普及に尽力している。

— 経歴 —
浜松医科大学医学部卒業
浜松医科大学大学院修了
米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部がんセンターなどの勤務を経て
現在、聖隷健康サポートセンターShizuoka所長
特定非営利活動法人くすり・たべもの・からだの協議会副理事長も務める