生理期間中にナプキンを交換する暇がない、ナプキンによるかぶれやムレが気になるという人も多いのではないでしょうか。そのような悩みの解決に注目したいアイテムが“月経カップ”。この記事では、月経カップの基本的な使い方や注意点について詳しく解説します。気になっている人はぜひ参考にしてみてください。

月経カップの基本情報

月経カップとは、腟内に挿入して経血を溜めるカップ型のサニタリーアイテムのこと。経血が溜まったら捨てて再度装着することで、繰り返し使えます。長時間の交換が難しい人や、ナプキンによるかぶれやムレが気になる人、環境への配慮を重視する人におすすめです。ただしタンポンよりも少し大きいため、性交渉の経験がない人には使いづらいという一面も。

また、月経カップの各部位には名称があります。“リム”と呼ばれる月経カップの縁部分は、腟内でフィットしやすいよう厚めのつくり。“空気穴”はカップの真空状態を防ぐためにあり、“ステム”と呼ばれる底部の棒は、取り出し時の補助として掴む部分です。

基本は3ステップ。月経カップの使い方

月経カップの基本的な使い方を、イラスト付きで解説します。

挿入前

まずは手を洗い、清潔な状態にしましょう。便座に腰をかけるか中腰の姿勢をとり、下半身の力を抜きます。新品の場合は、使用前に煮沸消毒をしてください。

挿入時

月経カップを、膣に入る大きさに折りたたみましょう。ステムが下向きになるように持ち、もう片方の手で陰唇をやさしく開いてください。腟口から尾てい骨に向かって、ステムが腟口に隠れるまで挿入します。無理に奥まで入れる必要はなく、親指の第一関節までが目安。腟内にフィットしている感覚があれば大丈夫です。

取り出し時

取り出す際も、まずは手をきれいに洗いましょう。指を挿入して月経カップのステムをゆっくり引っ張り、腟口までカップを移動させます。底部をつまみカップをへこませて腟壁との密着状態を緩めたら、ゆっくりとカップを取り出しましょう。

カップに溜まった経血を流し、再度使う場合は水や赤ちゃんのおしりふきなどできれいにしておきます。アルコール成分を含んだ除菌用ウェットシートは、刺激になる場合もあるため避けましょう。

生理期間が終わったら、消毒して保管しよう

生理期間が終わったら、月経カップを一度煮沸消毒しておきましょう。鍋もしくは電子レンジで行う方法があります。

鍋の場合は月経カップが浮くくらいの水量を沸騰させ、5分ほど浮かせて入れてください。取り出したら、さまして自然乾燥させましょう。電子レンジを使う場合は、耐熱容器や商品と一緒に販売されている洗浄カップに月経カップを入れて水に浸し、数分煮沸させます。

煮沸以外にも、除菌用ミルトンや哺乳瓶消毒用の消毒液を使用するという方法もありますが、素材や商品によっては適さない場合も。説明書を確認し、商品に合った方法で丁寧に消毒しましょう。

月経カップがうまくはいらない?折りたたみ方を工夫してみよう

月経カップがスムーズに挿入できず、入れ方のコツを探している人もいるでしょう。そのような時に工夫したい点が折りたたみ方。月経カップにはいくつか代表的な折り方があり、今回は“Cフォールド”、“パウチダウン”、“セブンフォールド”、“ダイヤモンド折り”をご紹介します。

“Cフォールド”は、本体をC字になるように中央でふたつ折りにするシンプルな折り方です。“パウチダウン”はリムを手前から内側に折りこむ方法で、先端を細くすることで挿入しやすくします。

“セブンフォールド”は、本体上部の端を折り曲げてカップ全体を平らにする方法。“ダイヤモンド折り”は下部分をつぶし、リムの両端をダイヤモンドの形になるように前に倒して折りたたみます。小さく折りたたむことで、挿入時の違和感が和らぐでしょう。

他にも折り方はさまざまありますが、自分が挿入しやすい折りたたみ方で問題ありません。何度も試す中で、自分にとってストレスがない折り方を見つけてみてください。

月経カップの注意点。“使用時間”と“保存方法”は守ろう

月経カップを使用する際の注意点を、いくつかご紹介します。

長時間の使用は避ける

まず、商品が推奨している時間以上の挿入は避けてください。最大12時間の連続使用が可能と謳われる商品が多いですが、8時間くらいで一度交換するとよいでしょう。

長時間使用していると、月経カップ内で菌が繁殖しトキシックショック症候群(TSS)を発症する可能性があります。過去に発症したことのある人は医師に相談のうえ、使用を検討してください。

素材に合った保管方法を守る

月経カップを清潔に保つために、保存方法は必ず確認しましょう。月経カップはシリコン製なため、紫外線に弱い傾向にあります。直射日光にあたらない場所に保管してください。

また、消毒後はしっかりと乾燥させるためにも、濡れた状態でジップロック等の密閉された袋に入れることは避けましょう。

まずはリラックスできる環境で練習しよう

月経カップを初めて使う場合は、スムーズに取り外しできるようになるまで時間がかかるもの。初めのころは、経血がすぐに洗い流せるようにお風呂場で練習したり、家でリラックスした状態で1日試してみたりと工夫をして、徐々に慣れていきましょう。

外出先での使用に不安がある人や生理の2日目で経血量が不安な人は、漏れても焦らないためにナプキンと併用したり、おしりふきや交換用のアイテムもポーチに入れて持ち運んだりするのも手です。

使ってみて痛みやかゆみを感じる場合は、すぐに使用をやめてください。月経カップの使用の有無にかかわらず、月経や身体に関して些細なことでも不安があれば、婦人科に相談しましょう。

この記事の監修者

クレアージュ東京 レディースドッククリニック 婦人科顧問|大島 乃里子 医師

—   プロフィール  —

婦人科腫瘍のほか女性医学の専門医でもあり、思春期から老年期までの女性の生涯におけるヘルスケアを担う。一人ひとりの患者さんに向き合った治療を行っている。

—   経歴  —

医学博士

日本産科婦人科学会専門医

日本婦人科腫瘍学会専門医