手や指の関節に違和感があり、日常生活に支障ができるほど痛みがある。そんな経験をしたことはありませんか?もしかしたらその症状…「メノポハンド」かもしれません。

3年前から手に痛みが出始めたという、横浜市に住む62歳の女性。今では、痛み止めを飲んでも夜眠れないこともあるほどだといいます。

手の痛みを訴える女性(62):
(2024年の)12月に入ってからは、痛み止めを飲んでも眠れない。腫れてきましたね、形が変形したというか、見た目にも膨れ上がっていますし、親指の付け根ですね。

手指のこわばりや関節の痛みなどの、“手に関する不調の初期段階の総称”である「メノポハンド」。近年、病院に相談に訪れる人が少しずつ増えているといいます。

横濱 松宮整形外科 リハビリテーションクリニック
松宮基英院長:
「私メノポハンドですか?」という問いで来られる患者さんが、少し多くなってきた印象がありますね。メノポハンドの症状だろうなということが、7~8割はそうかなと。

手指の疾患になる可能性も

手の初期の不調であるメノポハンド。

近年は、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」が、更年期前後の40代~60代になり急激に低下することと、深い関連があることが分かってきました。

手の関節には、軟骨とその周りに「滑膜(かつまく)」という関節の動きをスムーズにする組織があり、エストロゲンが減ると、この「滑膜」が腫れて軟骨同士が押されてぶつかり合うので、痛みやこわばりが起きるのです。

日本手外科学会の専門医・指導医でもある下江隆司医師によると、女性ホルモンの低下に関係していることから、女性がなりやすい傾向にあるといいます。

日本手外科学会 下江隆司医師

日本手外科学会 下江隆司医師:
女性の場合は、エストロゲンが急激に下がってしまうんですね。50代とか。男性の場合は、60歳くらいで下がってくるのですが、下がり幅が小さいので、やはり女性の方がエストロゲンの影響を強く受けて、症状が強く出るということになります。

また、メノポハンドになりやすい人の傾向として、家族に手の変形などが見られる人、生活習慣病がある人、出産後や授乳期に手の不調があった人などが挙げられます。

症状が進行すると、数年で腱鞘炎や末梢神経障害、変形型関節症といった、「手指の疾患」になる可能性が高いといわれています。

――すでにメノポハンドの疑いがある人はどうすれば良いのでしょうか?
日本手外科学会 下江隆司医師:
まずは、前段階、症状の軽いうちから整形外科の専門医、あるいは手外科の専門医を受診していただけたらと。正しく診断した上で投薬、あるいはステロイドの注射など治療を行わせていただいて、それでも症状が重い場合、症状が長引く場合は手術も選択肢の一つとなります。ただし、基本的には手術以外の治療から開始することが多いです。

メノポハンド予防法

「加齢が原因では防ぎようがない」と思う方もいるかもしれませんが、メノポハンドの予防として、今からでもできる「手のエクササイズ」をご紹介します。

1.「手のひらストレッチ」(しびれ・痛みなどの予防)
手を前に突き出し、揃えた指をもう片方の手でぐっと後ろ側にそらすことで、指の付け根部分を伸ばすストレッチ。1日、1分~2分ほどやれば効果的。

2.「親指まわし」(付け根部分の関節の動きを維持)
親指の付け根をぐるぐる回す。片手だとやりにくい人は、両手の指先を合わせて親指同士がぐるぐると回るようにするとやりやすい。1日、1~2分やると効果的。
(※すでに痛みがある人は無理にやらないように)

また、大豆食品から生み出される「エクオール」という成分が、「エストロゲン」とよく似た働きをしてくれるため、大豆食品を食べることで予防につながるケースもあるといいます。

1日当たり10mgの摂取が推奨されており、これは、豆腐200g(1丁の4分の3程度)、納豆50g(1パック)、豆乳200cc(コップ一杯程度)にあたるので、いずれかを食べたり飲んだりして摂取してください。

ただし、この予防法はすべての人に適応できるわけではありません。

日本手外科学会 下江隆司医師:
大豆製品を食べても体の中の腸内細菌で、エクオールという物質に変えることができる、エクオールを作れる方と作れない方がいることが知られています。
我々の調査では、日本人の約6割の方がエクオールを作ることができません。ですので、残りの4割の方は大豆製品を食べることでエクオールの恩恵を受けることができます。一方で、6割の方はサプリメントで摂取することで、エクオールの恩恵を受けることができると。

自分がエクオールを作り出せる体質なのかどうか調べるには、薬局などで販売されている「エクオール尿検査キット」などを利用してください。

(『めざまし8』 2025年2月25日放送より)