他国で合法として運営される「オンラインカジノ」。日本国内からの利用は禁止されています。
警察庁によると、2024年の摘発者数は、国内の利用者と業者合わせて過去最多の279人。
前年の、約2.6倍になりました。

私たちの身近に潜んでいる、日本国内では違法の「オンラインカジノ」。
その実態とは?

ギャンブル依存症問題を考える会 田中紀子代表

ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表に解説していただきました。

「オンラインカジノ」とは?

オンラインカジノとは、スマホやパソコンなどを通じてオンラインでスロットやポーカー、スポーツ・格闘技の勝敗予想などを行い、結果に対して暗号資産や電子マネーなどを賭けるもの
最近はパズルのようなゲームも賭けの対象になっていて、スマホで24時間できるため、他のギャンブルより依存しやすいという面もあります。
オンラインカジノの多くは海外で運営されていますが、日本で利用すると、賭博罪(50万円以下の罰金または科料)、常習賭博罪(3年以下の懲役)といった犯罪になります。

子供が借金を…親から相談も

神奈川・横浜市「デイケアセンターぬじゅみ」では子供が借金を抱えたという親からの相談が増加しているといいます。

倉田大誠アナウンサー:
親のクレジットカードなどを使ってオンラインカジノをやってしまうケースが増えているのでしょうか?

ギャンブル依存症問題を考える会 田中紀子代表

ギャンブル依存症問題を考える会 田中紀子代表:
今の問題のあるあるです。気がついたら親の口座が空っぽになっていたとか、高校でまん延しているというケースもあります。

倉田大誠アナウンサー:
なぜ親のクレジットカードを勝手に使うことができるのでしょうか?

ギャンブル依存症問題を考える会 田中紀子代表:
寝てる間に財布から番号を見て。暗証番号って大抵親御さんは家族の誕生日にしていたりということで、いくつかあたってみるとヒットしてしまう時があるんですよね。

なぜハマるのか?

『めざまし8』が取材したのは、オンラインカジノにはまり、約2000万円の借金をしてしまったという都内在住の20代男性です。

オンラインカジノで依存症になった男性(20代):
 (大学)2年の時だったと思います。友人が横でやってるのを見て、誘われて。
ゲームをやってる感覚だったんです。

・きっかけは…
「大学時代友人に誘われて登録ボーナスで5000円もらえた」

・違法だと知っていた?
「HPや広告が日本語でちゃんとしているから大丈夫。違法ではなくグレーだと思っていた」

・ハマった理由…
「スマホでいつでも簡単“ゲーム感覚”で1~2日徹夜する時もある」
例えば、夜9時~12時の3時間で10万円勝つ。もう6時間やればあと20万円稼げるかもとやり続ける。

・現在は…
オンラインカジノを5年間続けギャンブル依存症の治療中

オンラインカジノで依存症になった男性(20代):
自分がやめなければずっとできますし、ネットさえあればできてしまうので、公営ギャンブルよりはお金のスピードが速いっていうんですかね。借金のスピードも速ければ、増える金額も速ければ、減る金額も速いという形だと思います。

オンラインカジノ利用者が増え続ける3つの理由

なぜオンラインカジノ利用者が増え続けているのか?その3つの理由を田中氏に聞きました。

理由① 海外から狙い撃ちにされる日本

アメリカの市場調査会社によると、オンラインカジノの日本の市場規模は2024年が約1兆2000億円、2033年には推計約1兆9500億円になると予想されています。
その要因は日本のスマホへの依存度の高まりだと分析されます。

日本の公営ギャンブル売り上げは中央競馬が約3兆3100億円(2024年)、競艇が約2兆4200億円(2023年度)、競輪が約1兆1900億円(2023年度)、オートレースが約1100億円(2023年度)。オンラインカジノの規模は、競輪に匹敵するほどだということがわかります。

理由② 著名人など広告塔の影響力

2つめの理由には、検索エンジン、動画共有サービス、XやインスタグラムなどのSNSなどで容易に閲覧できてしまうことがあげられます。
実際に日本向けサイトも2020年は約20サイトだったのが2024年には約150サイトと、約7.5倍増加しています。

著名人が出演する広告や、「安心」・「安全」・「合法」などをうたうホームページなどが「違法ではない」という誤った認識を招いてしまいます。運営国では合法でも日本での賭博は違法です。

理由③ 日本のオンラインカジノ対策は甘い

日本で摘発が増えてきたのは2024年あたりから。
「違法」という認識が低いため、犯罪だと認識させることが重要です。

海外の場合は、“違法サイト”への接続を防ぐ「ブロッキング」の他、ネットで検索しても出てこないようにする対策も実施されています。

MC 谷原章介:
なぜ(日本では)違法なサイトが野放しにされているんでしょうか?

橋下徹弁護士

橋下徹弁護士:
「ブロッキング」が通信の秘密に抵触するということなんですよ。というのは、それぞれがどこに接続しているのかというのを行政が把握して、特定のサイトに接続するのを禁止するということは常に監視されることが前提になってしまいます。それで今(日本では)ブロッキングができないということになっています。

ギャンブル依存症問題を考える会 田中紀子代表:
政策が後手に回ってしまったというのが今の惨劇を招いているような気がします。
日本も政府を中心に対策を考える必要があります。
なかなか解明もできていないというところがあって。日本のオンラインカジノに協力している人たちがどういう仕組みになっているのかよくわかっていないというのがありますね。

(『めざまし8』 2025年2月10日放送より)