2024年9月24日午前8時14分ごろ、八丈島の南180km の鳥島付近を震源とするマグニチュード5.8、震源の深さ19kmの地震が発生。
震度1以上の揺れは観測されませんでしたが、伊豆諸島と小笠原諸島に一時、津波注意報を発表、八丈島の八重根では高さ50cmの津波が観測されました。
今回の震源近くの鳥島付近には「海底火山」があり、これまでも津波が発生しています。
今回発生した地震と津波。「海底火山」との関連はあるのでしょうか?
気象庁は…。
気象庁地震火山部 青木重樹地震津波対策企画官:
(海底火山に)非常に近い場所では起きているというのは間違いないことではございますが、今回の地震について現時点でメカニズム等気象庁として言えることはございません。
なぜ、震度1以上の揺れが観測されていないのに津波が発生したのか。
「めざまし8」のスタジオでは東京大学地震研究所・青木陽介准教授をゲストに迎え、海底火山と津波の関係に迫ります。
伊豆諸島海底で相次ぐ異変
伊豆諸島の海底で異変が相次いでいます。
『海面の異変 地震5日前に噴火警報』
今回の地震の震源近くにある伊豆諸島の海底火山・須美寿島の周辺では、9月18日に海面の変色が見つかり、19日に噴火警報が発表されたばかりでした。
18日に海上保安庁が実施した上空からの観測によると須美寿島の北岸から北西約1800mにかけて海水が変色しているのが確認されたといいます。周囲に灰色がかった浮遊物も確認され、火山ガスや熱水などが噴き出している可能性があるとしています。
――今回の地震と海底火山の関連はあるのでしょうか?
東京大学地震研究所 青木陽介准教授:
これは間違いなく海底火山の活動と関連した地震ですね。
――これからも続く可能性もある?
ここで発生するこのような地震というのは10年に1回くらい起きているんですけれども、過去の例をひも解くと、1回起きたら沈静化していくという例が多いので、沈静化していくんじゃないかなとは思いますけど。
『2023年10月にも“謎の津波”』
2023年10月9日、伊豆諸島の鳥島近海を震源とするマグニチュード不明の地震があり、津波注意報が出され、この時も八丈島では60cm、神津島では50cm、三宅島では50cm、」千葉・館山市で30cmの津波が押し寄せ、船が転覆するなどの被害が起きました。この時も、周辺では震度1以上の揺れが観測されず…。この時の地震は、海上保安庁の調査で海底噴火によるものだったことが分かっていますが、津波がなぜ発生したのか詳しいところは分かっていません。
東京大学地震研究所 青木陽介准教授:
海底火山であることは間違いないんですけれども、今回のと2023年のでは場所が少し違います。起きたことというのは大変似ているんじゃないかなと思います。
――海底火山だから予測が難しい面もあるのでしょうか?
東京大学地震研究所 青木陽介准教授:
海底火山ですとやはり海ですので観測してないというのがありますよね。陸上の火山ですと観測点を置いたりいろいろできるんですけど海の観測というのは非常に難しいので、観測できないので予測が難しいという側面がかなりありますね。
――列島周辺にある海底火山で大津波のようなものがやってくる危険性はあり得るのでしょうか?
2022年の1月にトンガで大きな噴火があって日本にも津波が来て大きな被害がありましたが、日本の伊豆諸島の海底火山でそういうことが起きる可能性もないとは言えないですね。
海底隆起する“破壊現象”
今回のこの海底火山、そして揺れが観測されていないのに津波が発生したことの鍵になるのが、海底隆起する“破壊現象”です。
「トラップドア断層破壊」というもので、海底の岩盤のさらに下にあるマグマの動きが活発化することによって、マグマの一部が上昇し、海底の岩盤が押し上げられます。そうすると、海面も押し上げられ津波が発生します。
ではなぜ揺れを感じないのかというと、陸上ではなく震源が海上であること、そして震源地が浅い、岩盤が押し上げられたのが浅いということで揺れが感じられないということです。
東京大学地震研究所 青木陽介准教授:
鍋ぶたが水蒸気で片方だけ持ち上がるイメージです。
マグマがどんどん溜まって圧力がかかって岩盤が脇のところで摩擦で支えているわけですけれども、耐えられなくなって一部がグッと動くというそういうイメージですね。
「須美寿島」周辺の火山活動は今後どうなるのでしょうか?
青木准教授によると、過去4回(約10年周期)須美寿島周辺で同規模の地震が起き、津波が発生しています。いずれも沈静化していく傾向があるので今後も活動が弱まる可能性もあるのですが、もし今後さらに活発化したら、海上の船舶は航行に注意が必要、そして九州~千葉・房総エリアは津波に警戒が必要です。
世界有数の火山国である日本。海底火山は日本近海にどれだけあるのかみていくと、日本周辺には活火山が111カ所あり、世界の活火山の約7%を占めています。そのうち3分の1の34カ所が海底火山も含めた海域火山。今回の震源地である伊豆諸島付近には多くの海底火山があることがわかります。
――今回の火山の活動の影響で他の火山を刺激するようなことはあり得るのでしょうか?
東京大学地震研究所 青木陽介准教授:
火山の活動が他の火山に影響を及ぼすということは一般的にはほぼないですね。
(『めざまし8』 2024年9月26日放送より)
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