一面真っ赤に染まった水面。

現場は、岡山市南区にのびる用水路の一部。衛星写真でも、この一角だけが赤くなっています。

 

水面をじゅうたんのように覆い尽くす謎の赤い物体。

一体、何なのでしょうか?

 

 

「赤く染まった用水路」原因は“外来種”

 

赤く染まった用水路に小型カメラを入れて見てみると…水中は赤い物体のせいで日の光が弱まり、薄暗い状態。

水も流れていないように見えます。

 

 

 

この異様な光景に、近隣住民は…。

近隣住民:
僕はここ10年くらい歩きよるけど、1月か2月頃からぼつぼつこれが出だすな。

 

近隣住民:
なんか“血”みたいな感じ。絵本でいうところの“地獄”みたいな、そういう感じもしますね。

 

近隣住民も「地獄」と語るほどの赤い謎の物体。その正体は…。

 

岡山市南区役所 農林水産振興課 橋本幹太主事:
「アカウキクサのアゾラ」と認識しております。植物で「藻の一種」です。

 

「アカウキクサ」という外来種の一種で、通称“アゾラ”と呼ばれる植物。

 もともとはアイガモ農法のアイガモのエサや肥料、水田の雑草を抑制する目的で、日本に持ち込まれたものだといいます。

 

ではなぜ、外来種の「アカウキクサ」が、岡山市で大量発生したのでしょうか?

 

岡山県自然保護センター 植物担当 柿真理さん:
(大きさは)1センチ~2センチくらいですかね。カモとかサギの足にひっついて来たのが由来だと思います。
自分で栄養を作り出すこともできて、そのままどんどん広がって増えていきます。対策を特に何もしなければ広がるでしょうし、繁殖力は強いと思います。

 

繁殖力が強く、完全に除去しなければすぐに新たに繁殖し、生息域を広げてしまうといいます。

この場所では、「アカウキクサ」が約10年前から発生。

岡山市は毎年、今の時期に除去作業を行っているといいますが、歯止めがかからない状態です。

 

どこでも増殖する「アカウキクサ」に市の担当者は…

岡山市南区役所 農林水産振興課 橋本幹太主事:
やっぱり見た目のインパクトが結構強いものになるので、「あの藻は何なんですか?」「少し悪臭が…」とか、お問い合わせがあったことがあります。

細い水路にこの藻たちが散っていって、そこで大量発生してしまうと、ちょっと水路の流れが悪くなったり、ごみが引っかかったりという意味での悪さというのはあるかなと思っています。

 

放置すると周辺に広がり、水の流れを悪くしてしまうこともあるというのです。

さらに、問題はそれだけではないといいます。

 

岡山県自然保護センター 植物担当 柿真理さん:
水面を覆うので、下が暗くなってしまって多の水生植物への生育に影響が懸念されます。

 

従来の生態系も破壊する“くせもの”。

除去するといっても簡単ではないそうで…。

 

岡山市南区役所 農林水産振興課 橋本幹太主事:
基本的には網ですくったりというよな、人海戦術という方法で取っているという状況になります。
作業されている方、機械を使っている費用、現場がどうしても読めないところもあるので、それによって金額は変わってくるかなと思います。

 

きのう行われた6時間の作業では全体の2割ほど、約5トンの「アカウキクサ」を除去したといいますが、まだ8割も残っています。

 

岡山市南区役所 農林水産振興課 橋本幹太主事:
発生が大量になってしまうまでに、できる限り人の手でとれる範囲という時期がきっとあるので、そのタイミング、その時点でできる限り取っていくということが一番の予防になるのかなと思います。

 

 

 

(『めざまし8』2024年3月12日放送より)