全国で猛威を振るうインフルエンザ。
2024年12月29日までの1週間に報告された全国の患者数は31万7812人。
1医療機関あたりの患者数は64.39人と現在の方法で統計を始めてから最多となりました。

なぜ急激に感染者が増加しているのか?対策は?

5つの素朴な疑問を医療法人社団五良会・五藤良将理事長に解説していただきました。

なぜ感染者が過去最多に?

増加には主な2つの要因があるといいます。

①コロナ禍で免疫力が低下
新型コロナ禍で感染対策が施され、結果的に様々な感染症への免疫力が低下。集団免疫が獲得できていない可能性がある。

②増加した外国人観光客から持ち込まれ、流行が1カ月ほど早い
例年の流行時期は、A型が12月中旬~2月中旬、B型が通年(2月下旬から増加)です。
しかし今季は増加した外国人観光客が海外から持ち込み、2024年11月から流行期入りし、年末帰省での“家庭内感染”などによって年末にかけて急増しています。

医療法人社団五良会 五藤良将理事長

倉田大誠アナウンサー:
このほかにも増加の理由はあるのでしょうか?

医療法人社団五良会 五藤良将理事長:
10月まで暖かかったんですけど、11月から急激に寒くなったこととか、「pdm09」という、かなり感染力が強いウイルスのせいじゃないかとも言われています。

A型とB型症状の違いは?

症状はほぼ同じですが、強いて言うなら「A型」は40度近い高熱が急激に出やすい。「B型」は37度程度の微熱で気づきづらい、消化器系の症状がより出やすい、下痢が多い、などの症状が特徴です。

倉田大誠アナウンサー:
A型にかかってB型にかかる、連続感染もあるのでしょうか?

医療法人社団五良会 五藤良将理事長:
A型の中にもいくつかタイプがあるんですけど、A型に感染したあとB型に感染するというのはあり得ると思います。

倉田大誠アナウンサー:
いきなりB型にかかることもあるんですか?

医療法人社団五良会 五藤良将理事長:
そうですね。B型はまた別ですので。A型と比べて熱もそんなにたいしたことなくて症状が気づきづらい。消化器系の症状も、例えば風邪で胃腸炎になったりする方もいるので、必ずしも胃腸炎があるからB型というわけではないです。

治療薬が不足!?

「タミフル」のジェネリック医薬品「オセルタミビル」(沢井製薬)は1月7日、スケジュールを前倒しして年末年始も稼働したが急激な需要の高まりに製造が追いつかないことから、カプセル・粉薬共に供給を一時停止。
カプセルは2月上旬、粉薬は1月下旬に供給再開予定です。

「タミフル」(中外製薬)は1月9日から、急激な流行拡大で需要が高まり、本来必要な人に確実に届けるための措置として、カプセル・粉薬共に出荷数を調整。
調整は今季の流行が収まるまで継続する予定だということです。

「リレンザ」(グラクソ・スミスクライン株式会社)は現段階では供給の制限や停止は行っていないものの、流行拡大で需要が高まっているのは事実として感染状況や他の治療薬の動向を注視しながら今後も最善の対応をできるよう検討中だということです。

倉田大誠アナウンサー:
薬に関して、実際に医療現場からはどのような声があがっていますか?

医療法人社団五良会 五藤良将理事長:
大人の場合は、錠剤や吸引剤など何種類もあったりして代替薬というのがあるんですけれども、子どもは錠剤が飲めなかったり、吸引タイプもうまく吸えなかったりするので、粉タイプのドライシロップに。そのドライシロップの供給が少なくなってしまっているという状況なので、子どもは大人に比べて一度インフルエンザにかかったら重症化しやすいのでとても心配しています。

かかりやすい人の特徴は?

・免疫力が弱い人
・ワクチン接種をしていない
・ストレスに弱い人

免疫力を上げるには…

・適度な運動(散歩・ジョギング)
・十分な睡眠
・ストレス対策(ストレッチ・休息など)
・体温を上げる(入浴・温まる食事)
・腸内環境を整える(ヨーグルト・納豆など発酵食品)

医師オススメの感染対策

五藤理事長によると…
まず、「シャワー・入浴」。体に付着したウイルスを取り除きます。

倉田大誠アナウンサー:
手だけではなく、皮脂や毛穴なども大事ということですか?

医療法人社団五良会 五藤良将理事長:
飛沫核感染なんで、相手の唾とか顔や髪などにもついている可能性があって、シャワーなどで物理的に洗い流すことも極めて大事だと思います。

さらに「歯磨き」。歯周病菌が感染を防ぐ効果が低下させてしまうといいます。

医療法人社団五良会 五藤良将理事長:
歯磨きは口腔内の環境を整える。口の中が汚いと、例えば高齢者に多い誤嚥性肺炎、肺炎のリスクも高まりますし、糖尿病など免疫疾患など代謝にも多く影響させるということなので歯磨き習慣は極めて大切かなと思います。

そして、つり革・手すり、他にも買い物かごやエレベーターのボタンなどはウイルスが付着している可能性があり、その手で目・鼻・口に直接触れると感染する恐れがあります。

倉田大誠アナウンサー:
五藤先生がやっている特別な対策はありますか?

医療法人社団五良会 五藤良将理事長:
免疫を上げるとかストレスを強くするというよりも、疲れないとか悩まないとか日頃の心がけですよね。時間を見つけてジョギングするようにはしているし、今までどちらかというとショートスリーパーみたいな感じだったんですけど最近は7時間くらいはとるようにしているし、スーパー銭湯、温泉も時間を見つけて行くようにはしていますしヨーグルト、納豆、スープなどもとるようにしています。

(『めざまし8』2025年1月13日放送より)