バリアフリー化も「観る側」の方だけで止まっている
松本:ちなみに、事務所に入ったのは、どういった経緯だったんですか?
田﨑:もともと、私はユニバーサルデザインやバリアフリーということを広めたくて今の事務所に入りました。どうしても福祉というと、硬いイメージがありますが、エンターテインメントなら誰もが見てくれるので、そこで「こういう人がいるんだな」「バリアフリーってこういうのがあるんだな」「ユニバーサルデザインってあるんだな」というのを知ってもらいたいと思いました。社会を変えるきっかけになればいいなということだけで、この世界に飛び込みました。飛び込んだあとに、俳優という道があったということで、将来的にはモデルも役者もいろいろなことができたらいいなと思って挑戦し続けています。
松本:今後、こんな役をやりたいというのはありますか?
田﨑:いただける役をしっかり演じたいという気持ちはありますが…やりたい役といわれるとなかなか出てこない…。夢としては、ドラマに出る以外に舞台にも出てみたいです。私が憧れていた場所というのもありますが、どうしても私のイメージだと舞台裏は階段がいっぱいあるイメージで…。そういうところを、どうにか乗り越えて舞台にも出てみたいなと思っています。
松本:最近、スタッフとも話していて、学校など公共の施設がどんどん建て替えられてバリアフリー化が進んでいますが、芸術関係の現場でももっと進めた方がいいということですよね?「観る側」の方だけで止まっているというか…。
田﨑:私の母校では、舞台裏にスロープがあって、中学・高校時代に車椅子でスロープを上って人前で話す機会がありました。すべてをバリアフリーにするのは時間もお金もかかってしまうと思いますので、そういう、ちょっとしたところからでもやっていただけると本当にありがたいなと思います。
――今回、田﨑さんの撮影をするにあたり気をつけたところはあったんですか?
松本:今回のロケ場所は大学ということで、すでにバリアフリー化されていたため、バリアフリーマップをお渡しするくらいでした。むしろ特別な配慮はせず、通常の現場に来ていただき、我々に何が必要なのかを確認したいと思っていました。今日の撮影でも、ちょっと大変なのかなと思っていましたが、想像していたよりも特別なことではないとわかったことが一番の収穫でした。ただ、今回がたまたまそうだっただけかもしれず、何が大変なのかというのは2回、3回とやっていかないとわからないのかなと思います。
――今回の現場の雰囲気は、いかがでしたか?
田﨑:本当に楽しかったというのが一番の感想です。共演したキャストのみなさんがとても明るくて、いろいろお話をしてくださったので、自分が大学に通っているときの雰囲気や気持ちになりました。それこそ車椅子ユーザーということで、最初びっくりされちゃうのかなと思いましたが、すぐに会話に入ることができて、それがすごくうれしかったです。最初の撮影が萌の描いた漫画を見せてもらうシーンだったので、本当に素直に楽しく「きゃ〜」という、そのままの感情が出せたかなと思っています。