<松本圭右(プロデューサー)コメント>

第9話と第10話のテーマは「父親とは何なのか」。

第1話での誠のモノローグに「父親になるのは難しい」というセリフがありますが、新たな価値観でアップデートの第一段階に戻るような構成になっています。

ドラマ化をオファーさせていただき、全体構成案を作成したのが昨年の4月。その時点ではまだ原作の着地点がまったく見えていない状況でした。

そんななか、ドラマ制作サイドとして同意していたことが、ドラマのラストは、沖田家を救った大地が救われる物語にしたい、ということでした。

そしてもうひとつ、ドラマの着地点として描きたかったことが、誠とは違う考え方の人も世の中にはいるであろうということです。そのため、誠の対極となる存在として、大地の父・堀内真一郎をドラマオリジナルで登場させたい、と原作者の練馬ジム先生にお願いしました。

一言で言うと、「世界は変われる」と信じているのが誠、「世界は(そんなにすぐには)変わらない」と信じているのが真一郎です。

「好き」「嫌い」と同じように、どちらの目線もその人にとっては正解で、だからこそ難しい現実をドラマでは描きたいと思いました。

そもそも、練馬ジム先生の原作がそうなのですが、この物語の素敵なところは、登場人物全員がそれぞれの人生の主人公であることを丁寧に描いていることです。ですから、出てくるすべての登場人物が「自分の好き」を肯定できるように、ドラマ化する際も意識して作りました。

見てくださった方から「やさしい物語だ」「登場人物全員が愛おしい」という評価をいただけていることは、すごくうれしいです。

ただ、自分の中では「すべての人の好き」を肯定するのと同じように「嫌い」であることも否定しない物語になっていればいいなと思っています。きっと「好き」も「嫌い」もベクトルが逆なだけで、尊重すべき感情だと思いますので。

そういった思いをくみとっていただき、ドラマ版クライマックスを、練馬ジム先生にご了承いただけたことは本当にありがたく感じています。

あくまでドラマオリジナルの展開ですが、原作ファンの方には「こんな世界線もあるかも…」と、ドラマならではの着地点を見届けていただけたら、うれしいです。

第10話ラストの誠のモノローグと表情、そして、最終回第11話ラストの大地と母・美穂子のシーンに、思いのすべてを込めております!

またドラマ撮影が始まったあとに配信された、原作終盤の「円先輩のカミングアウト」や、最終話「誠の会社での出来事」エピソードなど、もしスピンオフが作れるなら、今すぐ映像化したいくらい素敵なエピソードですので、ドラマから入ってくださった『おっパン!』ファンの方にはぜひ、原作も読んでいただけたら、うれしいです!