ナレーション収録を終えた川栄さんにインタビュー。「この放送をきっかけにもっと多くの方に知ってほしい」というデスマスク職人の仕事と、師弟の関係を見守って感じたこと、自身が子どもに残したいもの、事務所独立から半年の今の心境についても聞きました。

川栄李奈「悲しんでいる方の心が少しでも穏やかになったら」

――デスマスクを作る工房があることは知っていましたか? 

犬や猫などのペットが亡くなったときに遺毛で思い出の品を作れる、というのは知っていましたが、人のお顔をかたどって残せるとは知らなかったので驚きました。残された方にとっては大切な思い出になると思うので、この放送をきっかけにもっと多くの方に知ってほしいですし、悲しんでいる方の心が少しでも穏やかになったらいいなと思いました。

――もしご自身や身近な方に何かあったとき、デスマスクを作りたいですか?

私は普段からよく「もし自分が死んだら…」と考えていて。母や家族には「私のお葬式は風船いっぱいでキラキラ、ポップにしてほしい」と伝えています。亡くなったら悲しいですけど、残された人は生きていかなきゃいけないですよね。だから、何かいい思い出になるようなことをしてほしいなと。

そういう意味ではデスマスクも、後から「こんな顔だったね」「あの時こういうことがあったよね」と思い出してもらえるなら、すごくいいなと思います。

――デスマスクを作る側に興味は湧きましたか?

いろいろな思いを抱えて旅立った方の面影を形にするという、とても重要なお仕事だからこそ、簡単な気持ちではできないと思います。弟子の元さんが思い悩む気持ちも分かりますし、権藤さんがどんな覚悟でこの仕事を続けてきたのか、その思いをすごく感じました。

――元さんは収入を得るためにデイサービスの送迎ドライバーのアルバイトと掛け持ちしますが、今後どちらの道を選ぶべきか悩みます。

デスマスク職人の仕事は、ほかのアルバイトとはちょっと違いますよね。扱っているものの重みを受け止めてちゃんと悩むことは、生きる上で大切だと思うので、たくさん考え抜いた元さんの人生はすごく豊かなものになると思います。

権藤さんの言葉で「寄り道も人生」とありましたが、たくさん寄り道をして自分で何かに気づけたら、結果それが良かったということだと思います。

――川栄さんは、大切な人の形見などは持っていますか?

実はあまりないんです。昨年、祖父が亡くなったのですが、その時に「自分は死んだら何を残せるだろう」と、すごく考えて。残された人の心に刻まれる言葉や記憶って大切なんだなと実感しましたし、そこに形として何かがあると、残された側はより鮮明に思い出せるのでいいなと思います。

――自身の死についてよく考えるというのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

人って絶対に亡くなるじゃないですか。それだけのシンプルな理由ですが、自分が死んだときにバタバタしてほしくないなと思っていて。SNSなど、“物”として形に残らないものが多い時代だからこそ、手紙のようにずっと手元に置けるものはすごく素敵だなと思います。

――いま意識的に残しているものはありますか?

子どもの誕生日に毎年、自分が使うアクセサリーを買っています。成人したら、私が身につけてきたものを一つずつプレゼントしたくて。18歳の誕生日に1個目、19歳の誕生日に2個目…と、誕生日プレゼントに添えてあげたいです。

――川栄さんは今年1月に事務所を独立し、約半年が経ちましたが、ここまでを振り返っていかがですか?

特に大きな変化があったわけではないですが、独立したことよりも、独立するという決断を自分でできたことが良かったなと思っています。

――決断したきっかけは何だったのでしょう。

自分で自分を育てたいというか。いいことも悪いこともある中で、うまくいかなかったときに人のせいにするのではなく「これは全部自分で決めたことだから」と受け止められる人間でいたかったんです。

自分で選んだことなら言い訳できないですし、決断に責任を持つことで、成長につながるんじゃないかと思い独立しました。

『ザ・ノンフィクション』予告・無料配信

YouTube「フジテレビドキュメンタリー」では、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。5月31日(日)13時40分~「生きた証を抱きしめて~愛するあなたとデスマスク~」』予告。

<過去の放送はTVerFODで、期間限定で無料配信中!>

5月3日放送「あしたもテレビの片隅で~映り込みに捧げる奇妙な人生~」(語り:渋谷凪咲さん):5月31日まで。

5月10日・17日放送「はぐれ者とはぐれ猫2 前・後編」(語り:志田未来さん):6月14日まで。

5月24日放送「橋田賞受賞記念 特別編 12浪の早大生 40歳の春」(語り:多部未華子さん):6月21日まで。