続いてはバックヤードへ。装飾やパイプ椅子、ゴミ箱、傘などが雑然と置かれており、張り紙の日焼けや劣化具合も相まって、長い年月の積み重ねが感じられます。 

掃除や消耗品補充に関する注意書きが何枚も…

こちらは、バックヤードの休憩スペース。部屋の隅々までいろいろなアイテムが飾られており、見ていて飽きない、興味を惹かれる空間です。画面右下に椅子が見えますが、装飾の稲場さんによる「もともと事務所で使っていたものを移動させ、ダンサーたちも座れるフリーな席」という設定で用意したそう。

テーブルの上には、ドラマスタッフ手作りの電話帳『シティページ』、昔懐かしいデザインのラジカセなどが見られます。

テーブルに置かれた『シティページ』の奥にはなんと…1984年当時の『週刊少年サンデー』を再現したものが!ガラスの灰皿にたまった紙タバコの吸い殻も、時代を感じさせます。

カセットテープや当時のコピー機、文房具など、今では手に入りにくい小道具は、美術用の倉庫から探したりフリマアプリで買ったりと、苦労を重ねて集めたそう。

カセットテープにカゴに桜の造花に…何でもありなバックヤード
アーティスティックで“エロスの殿堂”らしいポストカードがずらり

40年前にタイムスリップ!?懐かしさであふれる事務所

そして最後は事務所へ。WS劇場支配人の浅野大門(野添義弘)や妻のフレ(長野里美)がよくいる場所です。

重厚なソファが置かれ、バックヤードより落ち着いた雰囲気

レトロなデザインのデスクや金庫、調度品の数々に、「昔うちにあった!」「見たことある!」など、当時を思い出す方も多いのではないでしょうか。

ラジカセ、カバーのついた黒電話、寿司屋さんのお品書き…懐かしのアイテムがずらり

壁には「お金は執着する木に育つ」「金だけが人生ではない。が、金が無い人生もまた人生とは言えない。」という張り紙が。事務所には、ほかにも「金は天下の回りもの」「男は度胸、女は愛嬌」などの標語が貼られています。

「男は度胸、女は愛嬌」紙の色褪せ具合から、かなり年季が感じられます

装飾は、稲場さんをはじめ大勢のドラマスタッフで作り上げていますが、この張り紙を作ったスタッフによると、どれもフレが書いた設定だそう。稲場さんは「スタッフ1人ひとりのこだわりの違いが、こうして劇中の道具に現れているのも、装飾の面白さです」と話します。

細部に至るまで『もしがく』の世界観が詰め込まれています
昭和レトロな花柄ポットと、コーヒーセット
見たことのあるカップ麺も!メーカーに許可をとり、当時のパッケージデザインのデータを借りて作ったそう

美術スタッフの職人技が光る!注目ポイントは?

そして、とてもさり気ないですが、床や階段の汚れにまでこだわりが。長年の使用で劣化、破損したところを、修復しながら使っているという設定だそう。細部まで作り込む美術スタッフの“職人技”が光ります。 

何気ない作り込みにも注目です

稲場さんによると、WS劇場はステージ、ロビー、廊下、楽屋、事務所…とすべてがつながった大きなセットであるため、各所の飾りや雑多な感じに統一感を出すよう意識したそう。そのため、「もともとホールで使っていたものをバックヤードに置いた」などの裏設定を考えながら、小道具一つひとつを丁寧に集めたと言います。

「特に、ダンサーの楽屋の飾りは、雑多な中にも女性らしさが出るようこだわった」そうです。

『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』スタジオセット図面

脚本の三谷さんからは、装飾に対し「各所にラジカセやテレビを置きたい」などの要望があったそう。稲場さんは「バックヤードや楽屋などの小道具を、一つひとつ考えながら作るのは楽しかった」と振り返ります。

WS劇場の事務所にはテレビが

また、『クベ版 夏の夜の夢』など劇中劇で使用する小道具も、すべてドラマスタッフが手作りしたそう。

『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』第4話より

稲場さんは「舞台小道具を毎回手作りするのは時間が限られていて、とても大変でした」と言いつつも、「みんなで意見を出し合いながら作るのが楽しかった」と話しました。

今後の放送や見逃し配信では、ぜひ美術セットにも注目してご覧ください!

相関図など、ドラマの基本情報はこちらをチェック!水10ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』公式サイト

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