WS劇場の隣にあるペログリーズを訪れた久部は、三島由紀夫を読むミステリアスな女性・倖田リカ(二階堂ふみ)に、劇団への不平不満を洗いざらい話していた。

リカの優しさにすっかり気をよくした久部だが、会計が9万3600円と聞いて顔面蒼白。そんな大金を持っていないと逃げ出そうとするも、ウェイターのケントちゃん(松田慎也)に捕まってしまう。
哀れに思ったリカは、ペログリーズも運営している大門に許してやれないかと聞きに行くが、例外はダメだと取り付く島もない。

大門の妻・フレ(長野里美)の指示で、劇場の用心棒・トニー安藤(市原隼人)が久部を脅していたが、途中でリカが思わぬ助け舟を出す。久部が肌身離さず持ち歩いている“バイブル”シェイクスピア全集を預かる代わりに、明日の夜まで支払いを待ってくれる、と。
久部は命からがらペログリーズを出て交番へ駆け込んだ。しかし、警官・大瀬六郎(戸塚純貴)はモネの息子・朝雄探しに気を取られて、訴えをまともに聞いてくれない。
ダンカン(小池栄子)がいなくなり、大騒ぎになるWS劇場!
そこで迷子の特徴を聞いた久部は、八分神社で見かけた小学生をふと思い出し、大瀬と共に八分神社へ。朝雄を無事に保護する。しかし、自身のバイブルに関しては警察があてにならないと見切りをつけ、ペログリーズに忍び込む。
ダンカンが消えたことが発覚したWS劇場は大騒ぎになっていた。パトラは既に2回踊って疲れ切っており、モネは朝雄探しで不在。次の回のショーに出演するダンサーがいないのだ。

そこで、WS劇場のダンサーでもあるリカが急きょステージに立つことに。リカが準備を終えるまでのつなぎ役として、白羽の矢が立ったのが、客引き・うる爺(井上順)。かつて漫談師だった彼は、蓬莱の前で往年のコメディアンぶりを見せていたが、いざステージ衣装を身に着けると謎のかゆみに襲われてしまう。
八分神社では、大瀬がモネを連れてくるまで預かってくれと久部から朝雄を押し付けられた樹里が、神主である父・論平(坂東彌十郎)に文句をぶつけていた。潔癖で八分坂に嫌悪感を持っている彼女は、早くほかの神社へと移りたい願っている。
娘には秘密でWS劇場に通っている論平は、あいまいな態度。そこへ、大瀬に連れられたモネが駆け込んできて、朝雄の家出騒動は一件落着となった。

そうこうしているうちにリカが準備を終え、いよいよショーがスタート。ドレス姿で魅惑的に踊るリカだが、ノーさんがダンカンと消えてしまったため、スポットライトは固定のままで、彼女の踊りは度々ライトから外れてしまう。
隣のペログリーズに忍び込んだ久部も、シェイクスピア全集を追って、気づかぬうちにWS劇場に入り込んでいた。
“バイブル”を再び手にして歓喜に震える彼の耳に届いたのは、劇団の公演で使ったのと同じ曲。その音楽に誘われ、ステージで踊るリカを見つけた久部は、彼女の魅力を殺している照明への苛立ちをあらわに。

蓬莱から照明スタッフがいないと聞き、歯痒さにいても立ってもいられなくなった久部は、劇場内をがむしゃらに駆け抜けてスポットライトの元へ。リカの動きにぴったり合わせ、巧みにスポットライトを操る久部。
ライトの動きに気づいたリカは、大胆に踊り切り、最後に蠱惑(こわく)的な笑みを浮かべる。その視線の先には、舞台への情熱を目にみなぎらせる久部の姿があった。
