――原作映画を観た感想はいかがですか?
戦後、何もなくなった状態で、みんな怒ることに疲れ、悲しむことにも疲れ、だけど生きていかなければいけない。だからこその、生きることに対しての強いエネルギーを感じました。

――松永はどんな人物だと思いますか?ご自身と似ているところがあれば教えてください。
松永は荒々しいけれどすごく素直で、思ったことを全部ワーッと吐き出すタイプだと思います。強いけれど弱さもあって、虚勢を張ろうとする。今の時代も、男性はみんなあるんじゃないかなと思います。女性は、その弱い部分に惹かれたり。
僕の心の中にも、松永のような強さと弱さが存在しているのであれば、それをうまく引き出して役につなげられたらいいなと思っています。ただ、似ているか似ていないかで言うと…(まだ稽古前の)今のところ、似ていないかもしれません(苦笑)。でも男として、理解はできます。
北山宏光 新たな“松永像”に「絶賛、悩んでいます(苦笑)」
――三船さんが演じた松永。北山さんはどう見せたいですか?
いま絶賛、悩んでいます(苦笑)。もともと僕が持っているものを“スパイス”とするのであれば、それをセリフの言い回しや動きにどう落とし込んでいけばオリジナリティが出せるのか、模索しています。
演出の深作健太さんと話し合いながら作るので、どう仕上がるかまだ分からないですが、松永は荒々しく燃えるように生きて、無骨でありながら繊細さも持っています。
そんな松永を令和のいま見せるなら、少し艶(つや)っぽく演じたらどうなるかなと。無骨ななかにも少し艶がある。そういう落とし込み方ができたら、オリジナリティが出せるのではないかなと考えています。

――公演ビジュアルからも艶っぽさが感じられます。
そうなんですよね、って自分で言うのもなんですけど(笑)。顔に土を付けて荒々しさを表現して、髪型もちょっと変えるだけで印象がガラリと変化して。
過去のビジュアルも見ましたが、時代とキャスト・スタッフが変わると、印象もここまで違うものになるんだ、というところに面白さを感じました。これは新しいアプローチかもしれないと感じています。