──トラを演じるうえで意識したことはありますか?

僕は小さい頃から犬のモノマネが好きで、そこから声優になったというプロセスがあって。だから、犬を演じるときは特に、リアルな犬に近づけるように、本物の犬の声を使っていると思われたいなと思いながら演じています。

──リアルではありますが、トラの声には喜怒哀楽が見えますよね。

本物の犬は、何かに気づいたときに「ヴゥウン!?」と大げさに鳴くことはないですからね(笑)。そこはアニメーションなので、少しデフォルメしています。

──モノローグなど、言葉をしゃべる部分で意識したことはありますか?

最後にシンヤーと言葉を交わすシーンで、「声渋いね」と言われるので、あまり僕自身から離れないようにしつつ、渋めの声を意識しました。吠えもセリフもどちらも演じられて、すごく楽しかったです。

山寺宏一 印象に残っているシーンは「ヒーローになるんだと決心するシーン」

──トラ編は1話しかなく、「もっと見たかった」という声も多く聞かれます。

そうなんですよね!他のキャラクターは2、3話メイン回があると知って、「全体の話数的に仕方ないか」と思いつつ、「みんないいな…」と少し思いました(笑)。

──その1話の中で、印象に残っているシーンはありますか?

トラ編は1話全編を通してすごく濃くて、トラの気持ちがとても腑に落ちる展開でしたし、「面白い!」と思いながら台本を読んでいました。

最初はサーカスでピエロとして扱われて、子どもの声援は力になるとわかっているけど何もできなくて。そこから処分されそうになったところをシンヤーに救われ、シンヤーが頑張っている姿を見ることで「自分もヒーローになるんだ」と決心するシーン、成長していく過程は印象に残っています。

シンヤー(CV:釘宮理恵)

──トラとシンヤーの絆は見どころの一つですね。

そうですね。シンヤーはトラの力を信じて、ずっと応援してくれていて。演じている釘宮さんが表現するシンヤーの健気さというか、涙ぐましい努力の感じが本当にステキでした。自分を犠牲にしてまであんなふうに応援されたら、誰でも頑張れちゃうと思います。トラはシンヤーの頑張りに後押しされましたし、ぜひシンヤーの頑張りは見逃さないでほしいですね。

──その後、X(CV:宮野真守)をはじめ、ほかのヒーローとの関わりも描かれますが、アフレコエピソードを聞かせてください。

今は緩和されていますがコロナ禍がありましたし、何より忙しいメンバーですから、まさかみんなで収録できるとは思っていませんでした。最終話のX編で、宮野(真守)くんも花江(夏樹)くんも、ほとんどみんな一緒にアフレコができたのがうれしかったですね。

ナイス(CV:花江夏樹)

なかでもX(宮野)は、ヒーローが世間でどう思われているか、ヒーロー事務所と連合会についてなど、トラにこの世界のいろいろなことを教えてくれる存在です。もちろん台本を読んでいるので内容はわかっているのですが、Xである宮野くんに語ってもらえると、よりわかりやすくて。謎の多い人物ではありましたけど、僕にとっても、トラにとっても心強い存在でした。

──もし、山寺さんがヒーローになれるとして、手に入れたい能力はありますか?

(花澤)香菜ちゃんの語っている「飛びたい」とか、中村(悠一)くんの語る「不老」っていいですね。でも、まったくの不老は困るなぁ。空を飛べたら飛べたで、きっと大変だと思うし…。

花澤香菜 孤高の女性・クイーンの“変化”の裏に水瀬いのり&松岡禎丞の存在「“癒しオーラ”を向けてくれたので、演じやすかった」

この歳になると、「腕力が欲しい」とかそういうものはなくて。肉体的なものよりもメンタルの強さ、へこたれない心が欲しいですね。僕、本当に弱いので(笑)。あとは、何事にも寛容な心もいいですね。強いだけだと我が強くなってしまって良くないと思うので、広くて強い心が欲しいです。