梅沢富美男さん主演、土ドラ『浅草ラスボスおばあちゃん』は、日向松子(梅沢)が、失敗したり、空回りしたりしながらも、体当たりでキュートにハートフルに問題を解決。松子自身も、老後の孤独や人生の意味に向き合いながら少しずつ成長していく、人情味あふれる痛快リスタート物語!

<試写室>『浅草ラスボスおばあちゃん』第6話

僕にとって、浅丘ルリ子さんって、特別な存在なんですよね(突然)。

といいますのも、僕が大学生のときに放送された名作『すいか』(日本テレビ/2003年)の、浅丘ルリ子さん演じる“教授”の役が、すっごくよくて大好きなんですよ…。

うん、で、どのくらい好きかっていうと、『すいか』第1話序盤、授業で泣きはじめてしまった女生徒に対して、「女子だからしょうがないんじゃ?」とかなんとか男子学生が軽いノリで助け舟を出すんですが、それに対して教授が言い放ったセリフ…「ここは、あなたの愚かな偏見を“開陳”する場所じゃありません!」ってのが、あまりにも強烈で、大好きで。それによって僕は“開陳”という言葉を覚え、ことあるごとに“開陳”をしたり顔で使うようになりましたとさ…(知らんがな)。

で、ほかにも「私みたいなもんがいてもよいのか…」と人生に迷っている主人公に対して、教授は「いてよし!」とたった4文字で救ったり、忘れがたい過去のせいで前に進めない、とある人物に対し「安心して忘れなさい…私が覚えといてあげるから」と慰めたり…と、とにかくこの教授を演じる浅丘ルリ子さんってのは、僕が初めて知った熟語やセリフを覚えてしまうくらい、とんでもなくインパクトのある、すんごく“いいこと言う”、そんなキャラクターだったのです。

そいでもって、もうここまで関係ないことを書いてるので、ついでに加えてしまうと、その4年後の『セクシーボイスアンドロボ』(日本テレビ/2007年)ってドラマの浅丘ルリ子さんもすっごくよくって、自分が関わったことで友人を亡くしてしまった主人公が「わたしのせいなのか?」と、浅丘ルリ子さん演じる骨董屋さんの店主に問うんだけど、それに対して「そうよ!あなたのせいよ!だって、あなたはひとりで生きてるんじゃないもん。この世界に、あなたはどうしようもなく関わってるの!」って、これだけで世界観が過ぎる、人生観を変えてしまうほどの強烈なセリフでもって、主人公のみならず、僕を含めた視聴者全員を承服させたのでした…などなど…。

つまりここまで、僕が何を言いたかったのか?というと、僕世代のドラマ好きにとって、浅丘ルリ子さんってのは、特別で(おそらく寅さん世代も含めて全世代特別だと思うけど…)、浅丘ルリ子さん演じるキャラクターは“いいこと言う”がデフォルトで、むしろ“いいこと言う”待ちですらあって、浅丘ルリ子さんを通したそのキャラクターによって、僕は、僕らは、“いいこと言う”を体感したい!!再びあなたが放つセリフで、説き伏せられたい!!と渇望するほど、それほどに浅丘ルリ子さんは、特別な存在なのです。

っとここまで、他局のドラマで長くなってしまいましたが、翻って、この『浅草ラスボスおばあちゃん』における、浅丘ルリ子さんときたらどうでしょう?ねぇ?どうでしょう??ねぇ、ちっとも、ちっとも、“いいこと”なんて言わないじゃあないですか??ねぇ!?言う気配すらないし、なんならいつも松子(梅沢富美男)や梅子(研ナオコ)と軽口でだべってるだけで、“いいこと言う”土壌すらできあがってもない!!

っていうか逆に、口悪いし、文句も言うし、堂々というよりウダウダしてるし、けち臭いことまで言っちゃう…うん、そう、あの、僕の、僕らの、浅丘ルリ子さんの“特別感”がちっとも享受できない!!あの、あの教授を、あの浅丘ルリ子さんの教授を、僕は享受したい!!教授を、享受、したい!!!(結局はくだらないダジャレ)