<堀田茜 コメント>

――堀田さん演じる、森野礼について教えてください。

礼は、自分の中で決めた“ルール”に強く縛られてしまっていて、本当は変わりたいと思っているのにうまく行動に移せない不器用な女性です。

礼にすごく共感する部分があって、私も30代に入ってからは特に、自分の中でいつの間にかできあがった“ルール”のようなものに、良い意味でも悪い意味でも強く支配されていると感じることがあります。

だから、礼が物語の中で少しずつ成長していく姿を通して、自分にも変化があるんじゃないかと思える、とても共感度の高い役柄だと感じています。

森野礼(堀田茜)

今回の作品では、ルームシェアがテーマの一つになっています。誰かと一緒に暮らすと、それぞれに生活スタイルやこだわりがありますよね。

私の場合、特に結婚してから、バスタオルをかけておく場所や冷蔵庫に食品をしまう場所など意外と“自分ルール”がたくさんあることに気づいて…。快適な共同生活を送るためには、ある程度のルールは共有して守る必要がありますよね。

うちの夫は、ときどきそのルールを軽やかに破ってくれるんです(笑)。この前もふと「えっ、そこに靴下置いちゃう?」なんて思ってしまいました(笑)。

結婚をしていなくても誰かと暮らした経験のある方なら、きっと「あるある!」と共感していただけるエピソードがたくさんあると思います。細かいけれどリアルな日常の感覚が、作品を通じて伝わるといいなと感じています。

左から)轟大輔(長田光平)、パク(絃瀬聡一)、日向松子(梅沢富美男)、森野礼(堀田茜)

――初共演となる梅沢さんの印象は? 

梅沢さんはとてもシャイな方で、バラエティ番組などで見せる、あの堂々とした印象とはまた違う一面がありました。

撮影が進むにつれて、梅沢さんがポロっと話してくれる面白エピソードで、現場が笑いに包まれることが増えてきて、その流れで自然とみんなが打ち解けていきました。シェアハウスのシーンに出てくるキャストたちも、どこか遠慮がちな空気があったのですが、今では梅沢さんを中心に、みんなで談笑したり、笑い合ったりするようになりました。

そうした和やかで温かい空気感が画面を通して、しっかり伝わるといいなと感じています。

日向松子(梅沢富美男)

――松子(梅沢)のような人間に共感できるところはありますか?

松子さんのような年上の世代の考え方や感じ方を、作品を通して少しずつ理解し学んでいきたい。生きてきた時代が異なれば、見てきた景色や経験してきた出来事も当然違うので、その“世代間の違い”をリアルに描くためにも、礼として、松子さんとぶつかり合っていく場面が必要だと思っています。

そのうえで、どう歩み寄り、どう理解し合えるのかを探っていくことが、今の時代においてとても大切なのではないでしょうか。

この作品が、世代を問わずさまざまな人にとって価値観を見つめ直すきっかけになればうれしいです。

左から)パク(絃瀬聡一)、日向松子(梅沢富美男)

――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

見どころは、なんといっても梅沢さんが演じる松子おばあちゃんの奔放さ、そしてそんな彼女に
振り回されながらも、少しずつ影響を受けていく地域の人々の姿です。

それぞれが「自分を変えられない」とか、「殻を破れない」といった悩みを抱えているのですが、松子との関わりを通して、少しずつ心を動かされ、共鳴しながら変化していく様子が丁寧に描かれています。

思わず笑ってしまう場面もありながら、見終わったあとには「なんだかいいものを見たな」と心がじんわり温かくなるような、そんな時間をお届けできたらうれしいです。