<ストーリー>
浅草の古びたアパートで50年以上、ひとり暮らしの松子(梅沢富美男)は、夏の暑さにも負けず、今日もマイペースに生きている。一方、区役所のまちづくり課に勤める几帳面で融通の利かない職員・森野礼は、老朽化したアパートから、松子をやんわり退去させるミッションを上司から押し付けられる。
そんななか、松子が長年働いてきた定食屋さんが、ターゲットを若い世代にすえたカフェへとリニューアルする方針を固める。「高齢者はお呼びでない空気」をひしひしと感じた松子は、引退を決意する。
それでも松子は、行きつけのバーで同年代の仲間、竹子と梅子には本音と愚痴をこぼす。年齢を理由に居場所を奪われることへの怒りと寂しさともどかしさ…。
「一生懸命生きてきたのに、なんだか泣けてくるね」
そんな松子を励ます竹子と梅子。
「松子にしかできないことがあるんだって。昔から浅草の町じゃ、困ったときの松子だったじゃないの」
「そんなの仕事になんないだろ…いや、なるかも」
筆をとった松子は、新たな事業の屋号を書く――その名も「便利屋ラスボスおばあちゃん」!
松子は、竹子、梅子とともに、仲見世でチラシを配って盛大に便利屋の街頭宣伝へ。観光客らからも注目を浴び、本人たちはおおいに手ごたえを感じ、世間の「おばあちゃん」へのニーズを感じ取る。
「いい歳だからこそ、自由に生きたいんだよ!」
礼が現れ、制止に入るが、松子は毅然と言い放つ。
一方、区が取り組む魅力発信プロジェクトの一環で、中国のドラマプロデューサーが浅草へ視察に来ることに。礼は上司から“おもてなし”として、浅草の行列店の入手困難なカステラを用意するよう指示される。
礼が困っていると、松子が現れ、便利屋の最初の仕事として、カステラを買いに行くことを申し出る。「店の先代とは、仲良しだった」と自信満々に意気込む松子だったが――。