各地で「オーバーツーリズム」が問題となる中、日本人や日本在住の人と、外国人観光客で価格を分けて設定する「二重価格」導入の動きが広がっています。

2025年7月に沖縄で誕生するテーマパーク「ジャングリア沖縄」では、チケット価格を分けて販売。

外国人観光客は国内在住者と比べ、1870円高くすると発表しました。担当者によると、海外ではすでに「二重価格」が広く普及しているため、取り入れたといいます。

一方で、二重価格導入に悩む人たちも…。

イギリスのBBCが発表した「2025年に旅行したい場所」に、国内で唯一選ばれた香川県の離島・直島(なおしま)。

3年に1度の「瀬戸内国際芸術祭」が開催されることもあり、多くの外国人観光客が訪れる中、二重価格導入については…。 

ハンバーガー店と民宿を経営する木下さん:
こちらの計算も面倒くさくなるので、あえて二重にはしてないですね。どちらかというとやりたくないっていう気持ちの方が強いかな。

レンタルサイクル&バイク T.V.C直島レンタルサービス 石井代表:
日本の方と海外の人の“差別”っていうことも出てくるので、その辺もネックになって今のところ手は出していない状況ですね。(二重価格を)やってみたいとは思います。

世界では当たり前?専門家「公平性の問題点」 

海外では、オーバーツーリズムを抑制する観点から「二重価格」を導入するケースが増えています。

ハワイのダイヤモンドヘッドでは、ハワイ在住者は予約不要で無料なのに対し、観光客は予約必須・料金も5ドルかかります。インドの世界遺産「タージマハル」でも、自国民は約95円の入場料が、外国人は約2075円と、約22倍の価格に。

MC谷原章介:
実際に、インバウンドに関わるお仕事をされている方は、なるべく悪い印象を与えたくないというのも聞きますし。でも日本人からしたら高くても、インバウンドで来る海外の方にとったら安いというと、それはどんどん買い負けていきますよね。

カンニング竹山氏:
日本人ってちょっと真面目だなと思うんです。海外に行くと外国人旅行者に対して高いのは当たり前にあるから、ひとつ発想を変えてみてくださいと。
二重価格にして、外国人観光客は高い、日本人は安いという考えではなく、そもそもここの施設の入場料は3000円ですが、日本に住んでいる人は割引で1000円になりますという感覚。日本に住んでいる人は“割引”でこの価格という感覚でいくと、問題ないと思うんです。
実際、海外はそういうところがいっぱいあって、それは差別でも何でもない。日本はこれから観光で食べていかなくてはいけなくて、そうなるとビジネスですからそれはあるでしょと。

観光行動の分析が専門 東洋大学 古屋秀樹教授:
飲食店の経営等に関しては、人手不足や言葉の壁をどう乗り越えるかとか、非常に経営環境が厳しいので、いかに収益をあげなければいけないのかというのがまずあると思うんです。その中で、いっぱい払ってくれる外国人に対して高い金額を設定するのかというのは、やはり公平性の問題では問題点があるのではないかなと。
例えば、海外メディアでは「二重価格を日本が設定することは日本の衰退ではないか」というコメントまで出ています。ですので、我々の“矜持”をある種問われているという状況かも知れません。

カンニング竹山氏:
日本は“ノーチップ”な訳ですよ。だから、チップを取るというわけではなく、「ノーチップですようちの国は」だからその分どうするとか、そういうのを使うのもやり方のひとつとしてあるのかなと。

MC谷原章介:
複雑な仕組みをいっぱい入れるのではなく、なるべくシンプルにわかりやすくと言うと、入国の際に払っていただくのが一番簡単かなとは思うのですが、あとは観光地、姫路城とか有名なところは外国からの観光客の方に関してはダブルプライスと。
スーパーや飲食店でやりだすと、日本に住んでいる外国の方もいますので難しいですよね。

カンニング竹山氏:
住んでいる人は日本人と同じ扱いでいいんじゃないですかね。そうしないと差別になってしまうし。

(『サン!シャイン』 2025年4月30日放送より)