──主演の松本若菜さんとは、どのようなコミュニケーションをとっていますか?

今年、音楽朗読劇『ひまわりの歌〜ヘブンズ・レコードからの景色〜』で共演させてもらった(本作にも出演する)波岡一喜さんが、松本さんとお知り合いだったみたいで。波岡さんが舞台公演中に松本さんに「佐野、ええやつやからよろしく!」と連絡を入れてくださっていたんです。なので、最初の会話はそれでした(笑)。

でも、まだあまり話せていなくて。朱羅はセリフが膨大やから、大変やろなと思うと…。これから様子を見て、ガンガン話しかけていこうかなと思っています。

──先ほど、保は“なんとなく”で医師になったと話していました。同様に、最初はあまり興味なかったけど、何かのきっかけでハマったものはありますか?

アイドルという仕事です。ホンマに最初はまったく興味なかったし、アイドルをやる自分っていうのがまったく想像つかなくて。中学3年生のときに親が履歴書を送ったのですが、オーディションを受けに行くようにって言われたときはホンマに嫌やったし。

オーディションを受けに行くこと自体が恥ずかしかったんですよね。でも、なんか…受かりそうな予感があって(笑)。いけた(合格した)とき、友だちになんて言えばええねんって、めっちゃ考えていました。

それで案の定受かって(笑)、学校を休まなあかん日が出てきて、友だちとかに説明するのがめっちゃ恥ずかしかったです。高校に入ってからは、初めて会う人からも「佐野ってアイドルやってんの?」と聞かれるのが照れ臭くて、あまり前向きではなかったかもしれません。

 

──それでも続けていた理由は?

エンターテイメントが好きで、人の前に立って何かをすること、歌うことが好きだったからです。でも、その当時はまだアイドルというものの魅力は分かっていませんでした。

ちゃんとアイドルの仕事に興味が持てたのは、6年前にAぇ! groupを組んでから。みんなで仕事することで、アイドルの尊さを知ったというか、「こんなステキな仕事ないな」と本気で思えるようになりました。

──一番ステキだと思えることは何ですか?

アイドルはたくさんの人に愛していただけて、人の生活の一部になれて、つらいときの支えになれていると感じられるところがいいですよね。街中で声をかけてもらえたり、ファンレターをもらったり、いろいろなタイミングでやりがいを感じます。

でも、何よりもステキだと思えるのは、メンバーの存在です。仲のいいメンバーと、同じ夢や目標を持って、ライブとか正解のないものをつくりだして、それに対するファンの皆さんのリアクションがあって。5人で歩むこと自体もですし、僕らがわちゃわちゃしているだけの時間を楽しんでくれる人がこんなにたくさんいるんやと感じられることが、今一番楽しいです。

──Aぇ! groupのデビュー後、ドラマや映画、舞台への出演も増えていますが、お芝居について今思うことを聞かせてください。

僕はアイドルを本業としてやりながら、芸人さんが主戦場とするバラエティにお邪魔して、俳優さんが主戦場とするドラマや映画の世界にお邪魔して、アーティストの皆さんが主戦場とする歌番組にお邪魔して、ホーム外に出ていくときのコンプレックスをすごく感じていたんです。

でも、映画『か「」く「」し「」ご「」と「』(5月30日公開予定)で共演した(奥平)大兼と、朝方まで芝居の話をする機会があって。僕が自分の抱えているコンプレックスの話をしたら、大兼から「アイドルに勝てないと思う瞬間がある」と言われて。

何万人っていう規模の人を相手にライブをやっていることもあって、「そういう人がカメラに映ったときに引きつける力があるし、恋愛ものでカッコよく決めているところを見ると勝てない」「アイドルにしか出せない色気は、どう頑張っても俺には出せないものだよ」と教えてくれました。

その言葉を聞いて「確かにアイドルだから出せるものもあるか」と思えましたし、そこで改めてお芝居に目覚めた気がしています。お芝居だけに本気で打ち込んでいる大兼に言ってもらえたことが大きかったですね。