3月30日(日)の『ボクらの時代』は、加藤シゲアキ(NEWS)さん、今村翔吾さん、小川哲さんが登場しました。

作家としても活躍する加藤さんは、2020年と2023年に直木三十五賞(以下、直木賞)候補にノミネート。今村さんは、2022年に『塞王の盾』で直木賞を受賞。今年は、著書『イクサガミ』がNetflixでドラマ化され、11月に配信予定。また、書店を経営するなど多岐にわたって活躍しています。小川さんは、東京大学在学中にSF小説でデビューし、2023年に『地図と拳』で直木賞を受賞しています。

3人は、10人の作家が短編小説を寄せた、能登半島応援チャリティ小説『あえのがたり』(2025年1月発売)に参加しています。

小川哲「直木賞をとらないとスタート地点に立てない時代」

3人は、出版業界を取り巻く状況の変化や、今後について思うところを語りました。

小川:僕らの上の世代は、直木賞をとったら人生安泰だったわけですよね。だけど、僕らの時代は、直木賞をとらないと、そもそも作家としてスタート地点に立てない時代になりつつある、その途中なんです。その間くらいというか。

小川哲

加藤:うん。

今村:過渡期くらいね。やっぱり、本の売れ行きが三分の一くらいかな。直木賞のときとかも。

今村翔吾

加藤:本屋大賞でさえ、(あまり売れていない)じゃない?

今村:本屋大賞でさえ、最近ちょっと少な目よ。

小川:日本で、コンスタントに10万部売れる作家ってもう、ほぼいないから。

今村:ほぼ、いない。

小川:東野(圭吾)さん。

今村:池井戸(潤)さん。

小川:村上春樹さん。

加藤:ああ、そうですね。

左から)今村翔吾、加藤シゲアキ、小川哲

加藤シゲアキ「賞味期限が長いものを持っておきたかった」

アラフォー世代の3人は「キャリア的には中堅」といい、作家としてのピークについても言及しました。

加藤:変わってきた感じあります?40代。

小川:脳みそのスペック自体は、年々落ちてる。

加藤:ああ。

小川:それは、僕は20代後半くらいから感じているんで。ただ、将棋の棋士とかと一緒で、本当に脳みそのスペックのピークは二十歳とかなんだけど、将棋の棋士としてのピークはそのあとにくる。それは、そのあとの技術とか経験があるから。

小川哲

今村:一般的に、作家ってそういうふうに見られてへんよね。棋士とかスポーツ選手みたいにピークがくるとか思われてへんけど、実際やってみて感じてる。どこかでピークがくるって。

加藤:僕は、20代で小説家になりたかった理由のひとつが、それこそアイドルって、今でこそだいぶ延びましたけど、賞味期限が明確にあると思っていたんですよ。

加藤シゲアキ

今村:そうか。

小川:なるほどな。

加藤:僕は、賞味期限が長いものを、もう1個持っておきたかったんです。

小川:セカンドキャリアだ(笑)。

加藤:そう、セカンドキャリアを考えていた。

今村:ほうほう。

今村翔吾「もう一段階アクセル踏む、すごい年配たちがいる」

加藤:それは同時でもいいんですけど、セカンドキャリアを持っていれば、今をもっと楽しめると思っていたし。けど、ピークが遠いと思っていたんです。小説家って、60(歳)くらいからピークだと思っていたので。

加藤シゲアキ

今村:はいはい。

加藤:けど、今しか書けないものもたくさんあるなと思って。

今村:あるある。

小川:実際、加藤さんは本業の方で大変なことがあったから。

今村:うん。

加藤:(笑)。そうそう、何度もあったので。

今村:ピークとか言ってるけど、北方(謙三)さんとか見ていたら、あのへんからもう一段階アクセル踏む、すげー年配たちもいるから。

今村翔吾

加藤:いますね。

今村:なんか、(どうなるか)わからんね。

加藤さんは「(北方さんのように)なりたいですけどね」と語り、3人は「作家にも、脂がのっている時期みたいなものはある」と盛り上がりました。

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