心身のバランスが崩れ、「動悸」や「不眠」など日常生活に支障が生じる「適応障害」。
近年、患者数が増え続け、ここ5年で約1.7倍にもなっているといいます。
ポップオペラ歌手、藤澤ノリマサさん(41)も、そのひとりです。
今年2024年の初めに心身に違和感を覚えはじめ、仕事にも影響が出てきたといいます。
適応障害を公表したポップオペラ歌手 藤澤ノリマサさん:
ステージの上とかでも真っ白になっちゃったりとか、何を話していいのか分からない。
このまま再びステージに立つことができなくなるんじゃないか、とか…。
ネガティブな事ばかりが頭をめぐり、さらに、夏頃には眠れなくなったこともあったといいます。そんな藤澤さんを支えたのが、「歌い続けたい」という思いでした。
適応障害を公表したポップオペラ歌手 藤澤ノリマサさん:
僕の表現できるところ、やっぱりライブとかしかないですから。
その後、学生時代の友人と会うなど環境を変えた結果、10月26日には、回復したことを報告。
10月31日に開かれたハロウィーンイベントでは、コスプレ姿で歌を披露したり、明るくファンとふれあう姿がそこにはありました。
若い人だけでなく高齢者にも発症のリスクがあるという、「適応障害」。
「めざまし8」は、精神科専門医である今野 裕之氏に詳しく話を聞きました。
“寒さ”に注意!冬に患者増加
「適応障害」は、発症すると大きく分けて2つの症状が出るといいます。
① 精神的症状
「何かをしていても楽しくない」「イライラする」「不安な気持ちが強くなる」など
② 身体的症状
「動悸・頭痛・肩こり」「よく眠れない」「食欲不振・倦怠(けんたい)感・疲労感」など
特にこれからの季節に注意が必要で、日本システム技術株式会社「REZULT」が調査した月別の患者数をみると、1年の中で10月、1月、12月に患者が増えているという結果が出ています。
なぜ寒くなると患者が増加するのか?それは、「適応障害」がストレスによって引き起こされる病気なことが関係しています。
本来ストレスは職場や学校、あるいは対人関係、病気などで蓄積していくものですが、冬になると日照時間が短くなり、日光にあたる機会が減少することで「セロトニン」という精神を安定させる脳内物質が減少。
また、気温が下がるなど“環境の変化”もストレスになり、適応障害を発症する人が増加するといいます。
精神科専門医 今野 裕之氏:
季節の変わり目というのは、ストレスがかかりやすい時期なので、増えるんですけれども、今の時期は暑かったり寒かったり日によってだいぶ気温差がありますので、そういった環境の変化もストレスになりますから、元々ストレスを抱えてらっしゃる方がこの時期に悪化すると。
谷原章介も経験 うれしいことのはずがストレスに…
――季節的な環境の変化だけでなく、仕事の環境変化なども影響が?
精神科専門医 今野 裕之氏:
そういったことは多いですね。転職だとか、移動とかそういったこともストレスになります。
MC谷原章介:
僕もこの番組が始まったときに、朝早いのには慣れているんです。ドラマとかで朝4時半起きとか全然あったので。
ただドラマは終わりが見えているから、3カ月後とか、来月に終わるとか、でもこの仕事は終わりが見えていなくて、1週間2週間目に入ったときに「俺、いつまでこの仕事するんだろう…」って、本当に夜中の2時くらいに目が覚めて眠れなくなっちゃって。
「これはいかん!」とドライブして、ちょっと車で流したら落ち着いたんですけど、番組始めたときはなんかもう、“深海の中に潜っているような圧迫感”をすごい受けたんです。それも適応障害の軽い一種みたいなものだったりしますか?
精神科専門医 今野 裕之氏:
そうですね、おそらく不安や緊張感が高ぶってしまってそれで起きた症状だと思いますので、これが続くと適応障害になっていた可能性はあると思います。
MC谷原章介:
今はすごくね、倉田さんと毎日楽しくやっているんですけどね(笑)
(今は)乗り越えた、みんなのおかげ、ありがとう。
倉田大誠アナウンサー:
いやいや…ありがとうございます。
ただ、今、谷原さんがおっしゃったように、新しい番組についたとかって、端から見たら「谷原さんおめでとうございます、頑張ってください」と応援したい気持ちがあるんですよ。本人にとってはそれが果たしてどうなのか?という部分があるのが今回のポイントで、意外なストレスというものがあるんです。
・意外なことで蓄積されるストレスとは?
ストレスはネガティブな出来事だけでなく、「昇進して部下を持った」「結婚・子供が生まれた」「定年退職した」などポジティブな出来事でも、その人の受け取り方次第で大きなストレスになるケースも。
高齢者も注意!周囲の“変化”
「適応障害」は高齢の方も注意が必要です。
高齢者は脳の老化により、環境への適応力が低下します。そこに家族との死別や巣立ち、介護などの環境の変化が加わると、大きなストレスになることも。
――何が自分にとってストレスになるか、気づくのが難しいと思うのですが
精神科専門医 今野 裕之氏:
実際にストレスに気がつくというのは難しいのですが、いつもより眠れなくなってきたとか、不安が強いとか緊張しやすいとかそういった変化が出てきたら、もしかしたら「適応障害」の兆しかもしれません。
MC谷原章介:
それを自分で「あ、そうかもな?」って思うだけで、ちょっとは和らいだりするものなんですか?それとも不安になっていってしまうのですか?
精神科専門医 今野 裕之氏:
環境の変化など、何かしら変化が起こったときというのは、自分で自覚してもストレスになることがありますので、こういう知識があると「もしかしたら今危ないかもしれない」というふうに思えるかもしれません。
MC谷原章介:
早めに治療に向かったりできるかもしれないですね。
治療法は?ストレス軽減と向き合い方
「適応障害」を発症した際、どのような治療を行えば良いのでしょうか?
基本的には、原因となるストレスを取り除くことが大切ですが、薬が効きにくいため、ストレスを軽減する治療が行われます。
1つ目は、「環境調整」。仕事が原因であれば、休職や部署異動など、職場に相談することもひとつの手段です。
2つ目は「何かに夢中になる」こと。体がきついときなどは、安静にしていた方がいいですが、スポーツなどで汗をかいたりすることも効果的です。
原因のストレスがなくなれば、6カ月以内で症状が改善するといいます。
精神科専門医 今野 裕之氏:
例えばスポーツをすることが大変だという人は、音楽を聴いたりアロマを炊いたり、ストレッチをしたり入浴したりといったことが有効ですね。ご自身がリラックスして夢中になってできることがいいので、料理をするなんてのもいいと。
毎日やった方がいいです。できるだけ自分が落ち着いて過ごせる時間を1日の中で設けるというのが大事です。
MC谷原章介:
好きなこと、気持ちいいことをやればいいんですね。
倉田アナ:
私、好きなことや趣味が本当にない人間なんですけども、そういう人は無理をしてやらない方がいいと思うんですが、どうしたらいいんでしょうか?
精神科専門医 今野 裕之氏:
そうですね、新しいことを始めるのもかえってストレスになることもありますから、あまり気合を入れなくていいこと、音楽を聴くなんてのもいいと思いますので、その辺から初めて見てはいかがでしょうか?
倉田アナ:
あ…ヒップホップか!ダンス、体に気をつけながらちょっともう一度やってみようと思います。
ストレスを軽減させるだけでなく、向き合うことも大切です。
適応力を高める「認知行動療法」は、ストレスの原因を知り問題を整理することで、ストレスを感じた時の自分の考えや感情、行動、症状を知り、その結果に合わせて考え方や行動を変化させるというものです。
――「適応障害」はどんな方が陥りやすいのでしょうか?
精神科専門医 今野 裕之氏:
性格的に細かいことを気にしやすいとか、自分のせいに考えやすいとか、真面目で責任感が強い方というのは、「適応障害」のような症状を起こしやすいかなと。
MC谷原章介:
じゃあ、本来頑張ってくれている、頑張っている人が陥りやすいというのを、周りの人が見守ってあげたいですよね。
精神科専門医 今野 裕之氏:
実はこういう症状はほかの病気でも起こることがあるんです。中には体の病気で起こることもありますから、なかなか改善しないなと思ったら、お気軽に医療機関にいって相談してください。
(『めざまし8』 2024年11月1日放送より)
関連記事
【注意】寒暖差による“秋のむくみ”どう解消?セルフチェックから入浴法まで気になる疑問を解説
2024年10月24日 |
16:02
【注目】中古スマホ需要が拡大 売却は“今”がお得? オススメ機種は…売買のポイントも解説!
2024年10月23日 |
15:56
“低栄養シニア”が増加!物価高による影響も…異変に気付くサインは?専門家が教える健康のキーワード「さあ にぎやかにいただく」
2024年10月17日 |
17:28
JOYも発病「死ぬかと…」福島の高齢者施設で「結核」集団感染 今でも患者数毎年1万人超えの理由とは?
2024年10月08日 |
16:09
【魅了】大谷翔平選手VSダルビッシュ有投手 夢の対決で見せた“熟練の技”15球のスゴさとは?
2024年10月08日 |
15:22
【注目】物価高の“救世主”に?タイムセール続々登場!ファミレスやコンビニまで…増加のきっかけは「AI活用」
2024年10月07日 |
13:43