海岸沿いの斜面に住宅が密集する景観が、イタリアのアマルフィ海岸に似ていることから、“日本のアマルフィ”と呼ばれる、和歌山の美しい港町・雑賀崎。
この街に住む人々が、今、約50頭の“野犬”の群れに生活を脅かされているといいます。
街をかっ歩する“野犬”たち
取材スタッフ:
うわ!あそこいますね、かなりの数の野犬がいます。
こちらが近づくと少し警戒したように、こちらをにらんでいるんですが、襲ってくる雰囲気はないですね。1、2、3、4、5…6頭、ここから見るだけでも6頭が確認できますね。
「めざまし8」が街を取材すると、種類や色の違う、体長1mほどの野犬が何匹もうろついていました。住民によると、野犬は10年以上前から目撃されていて、現在、約50頭がこの周辺に生息しているといいます。
この“野犬の群れ”によって住民らが悩まされている問題。それは…。
近隣住民:
(ゴミを)ガードレールの横にゴミを置いて、網を上からかけるみたいな手法なんで、やっぱり荒らされますね。
近隣住民:
朝4時半から5時ごろのちょうど眠たい時なのに鳴く。こっち鳴いたと思ったらこっちで鳴いて…合唱するように鳴くよ。
ゴミを荒らされたり、昼夜問わず吠えることで、騒音問題にも発展しているといいます。
実際に、午後8時過ぎに鳴き声の方に行ってみると、暗闇からこちらを見つめる犬たちの姿が…。この日は、午後10時を過ぎても遠吠えのような鳴き声が途切れることはありませんでした。
さらに、住民の中には“かまれたことがある”という人もいて、住民らは恐怖の中で暮らしています。
近隣住民:
(野犬が)全然怖くって。この子(ペットの犬)を連れているから余計怖くて、まだ人間だけなら寄ってこないけど、犬に対しては2、3匹とかで群れて歩いているので…。
専門家「捕獲も人なれも困難」
この美しい港町に、なぜ野犬が 住み着くようになったのでしょうか?
和歌山市動物愛護管理センターは取材に対し、「野犬はもともと飼い犬が捨てられて増えたと言われています」と話します。
また、地形的に崖となっていて、人が近づくことができない場所も多いことから、徐々に増えたのではないかということです。
和歌山市は、パトロールしながら、野犬の捕獲を進めているといいます。
専門家によると、この野犬による「狂犬病」のリスクはないものの、野犬を捕獲したり、再び飼育することは、簡単ではないといいます。
帝京科学大学 佐伯潤 教授:
野生動物ではないですけれども、やはりそれなりに人と関わりを持たずに過ごしている犬ということになりますから、捕獲についても難しいですし、捕獲した後、人にならすということについてもよほどの子犬じゃない限り、簡単ではない。まあ、ほぼ難しいですよ。
和歌山市は、月に2回、野犬などの譲渡会を行っていますが、市の譲渡会で引き取り手が決まるのは子犬ばかり。
専門家によると、こうした野犬の問題は和歌山市だけではなく、全国的に起こっているということです。
(『めざまし8』 2024年7月23日放送より)
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