様々な疾患の原因になる内臓脂肪。
健康維持のために生活改善に踏み出したくてもなかなか踏み出せない現代人に、救世主が現れたと話題になっています。
世界肥満デーの3月4日、大正製薬が発表したのは、日本で初めての内臓脂肪減少薬「アライ」です。
「アライ」は内臓脂肪と腹囲を減らす効果が期待でき、食事から摂取した脂肪の約25%を便として排出するといいます。
購入に際は…
・18歳以上の成人
・腹囲が85cm以上の男性または90cm以上の女性
・事前に食事や生活習慣の改善に取り組んでいる
などの条件があるものの、医師の処方箋なしで、薬局での薬剤師による対面での指導を受けた上で、購入することが可能です(※肥満症診療ガイドライン2022に記載された11疾患の診断を受けている場合、購入不可)
肥満症治療の新たな一手として期待が高まる「アライ」。
効果や使い方を日本肥満症治療学会理事で四谷メディカルキューブの笠間和典氏が詳しく解説します。
「アライ」発売はいつ?値段は?効果は?
4月8日に発売予定の内臓脂肪減少薬「アライ」。
1日3回、1カプセルを食事中か食後1時間以内に服用します。
希望小売価格は、18カプセル入り2530円、90カプセル入り8800円となっています。
その効果について、厚労省承認申請時のデータを見てみると、生活習慣の改善に加えて「アライ」を飲み続けた人と、生活習慣の改善のみを行った人の腹囲を比較すると、生活習慣の改善のみの人は6カ月で「-1.63cm」だったのに対し、生活習慣+アライを服用した人は、なんと「-2.49cm」でした。
では、これまでの肥満治療薬とは何が違うのでしょうか?
日本肥満症治療学会理事 笠間和典氏:
まず一番大きな違いは、薬局で購入できるということです。病院にかからなくて済む。
それによって、セルフメディケーションという考え方が普及するであろうと考えています。
さらに、他の薬と違うのは、重篤な副作用が“少ない”であろうということ。
今までの薬は中枢系に作用するので、精神面に変調をきたしたり、消化器系の副作用が出たりと重篤な状態になる可能性もありました。
しかしこの薬はそういった重篤な服作用が極めて少ないと考えられています。
この薬は、治療薬ではなく「予防のための薬」だと位置づけられています。
肥満症というふうになる前の、持病の段階で薬を使用することによって、健康寿命を延ばしたり、さらに社会保障制度、すなわち健康保険を維持するという社会的な意義もあると考えられています。
気になる副作用は?
「アライ」には、食事による脂質の吸収を抑える効果があります。
通常、食事等によって得た脂肪は、すい臓から分泌された酵素によって分解され体内に吸収されますが、アライはこの脂肪分解酵素の活動を阻害することで、体内への脂肪の吸収を抑制。
分解されない脂肪はそのまま便として、体外へ排出されるのです。食事由来の脂肪のうち約4分の1を排泄する効果が期待されています。
重篤な副作用は極めて少ないと言われている「アライ」。服用すると、脂肪の一部が分解されずに排出されるため、以下のような副作用が起こる可能性があります。
・便が油っぽくなる
・便が近くなる
・お腹が張る
・下痢や腹痛
これらの症状は、油の多い食事を控えることで症状を軽減させる事は可能だということですが、服用者の5人に1人程度には、「おならをすると便が漏れる」「気づかない間に肛門から油が漏れる」といった症状も発生する可能性があるということです。
服用開始の2週間以内に起こりやすく、次第に発症率は落ち着いていくということで、慣れるまでは便漏れパッドなどを活用して対策することができます。
――このような症状が出る場合、「効果が出すぎている」ということでしょうか?
日本肥満症治療学会理事 笠間和典氏:
はい。効きすぎているというより、この副作用というのは主作用の裏返しであると。
すなわち吸収されなかった油が便の中に出ている。逆に言えば、出てくる油というのは、自分たちに吸収される油だったかもしれない。ですから、油が出ること自体は悪いことではないです。
ただ、油が出ることによって下痢になったりだとか、このような副作用がありますので、自然と脂っこい物を控えるという生活習慣の改善にもつながってくると考えられます。
不適切な使用を防ぐための“条件”
購入条件には、年齢や体型の他に、購入の3カ月前から運動や食事改善などに取り組んでおり、購入の1カ月前から食事や運動の内容、体重、腹囲といった生活習慣の記録が必要と少しハードルが高いようにも感じますが、笠間氏によるとこれは「適正使用」のためだといいます。
日本肥満症治療学会理事 笠間和典氏:
購入までのハードルをかなり高くしているというのは、やはり適正使用というのを順守するためだとなっているからです。
今、色々な“やせ薬”と呼ばれるものが不適切な使用のされ方をしているということで、問題になっています。
なので、それを避けるためにかなり厳しめの購入条件が付く。特に日本での女性の“痩せ”の問題は大きいので、それを助長しないようにしたいと言うことが考えられていると思います。
そしてこれを薬剤師さんが判断するということで、薬局の薬剤師が「予防治療」に関しての大きな一翼を担うようになるという薬でもあると考えられています。
(『めざまし8』2024年3月5日放送より)
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